「消費期限偽装」のミニストップ 店内調理品の販売再開で苦しい業績は変わるのか(2/3 ページ)

» 2025年11月29日 05時00分 公開
[山口伸ITmedia]

黒字が一転、大打撃に

 ミニストップの国内事業は赤字が続いてきた。後述するようにコロナ禍での外出自粛や、集客のための安売りで収益が悪化したためだ。2026年2月期の上半期は一転、ソフトクリームを中心とした店内調理品や菓子パンなどの売れ行きが好調に推移し、値上げも相まって国内事業は13.4億円の黒字となった。

 だが、上半期以降の業績は確実に悪化している。既存店における店内加工FF(ファストフード)の売り上げは、8月に前年比91.0%となり、9〜10月は7割前後まで減少した。

直近数カ月の月次情報(出所:ミニストップ公式Webサイト)

 FFはミニストップの売上のうち、28.5%(2024年度)を占める主力商品である。仮にFFの売り上げが7割水準まで減ると、全体の売り上げは1割弱減少するため、9〜10月の売上高はFFの減少分がそのまま反映された形になる。同社は2026年2月期の営業利益への影響額が14億3000万円になると発表している。上半期で確保した利益を相殺する勢いだ。

「御三家」と比較して日販が低迷

 そもそもミニストップは長期で苦戦し続けてきた。国内店舗数は一時期2000店舗超まで拡大したが、近年は直営店を中心に不採算店を閉店し、10月末時点で1797まで減った。1店舗当たりの日販は44万円(2025年度第2四半期)で、60万〜70万円台のセブンやファミマ、ローソンを大幅に下回る。

 低い客単価はFFへの偏重が影響していると考えられる。

 ミニストップはFF目当てに訪れる客も多い。しかし、ソフトクリームやハロハロなどのFFと飲み物1品を合計しても700円に満たない。その上で、FF以外のコンビニ分野で有力な商品を打ち出せなかった。PBについてイオンのトップバリュを導入しているが、自社PBで他社のように定番商品を打ち出せていない印象だ。

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