コロナ禍でおにぎりを税別100円まで値下げし、ホットコーヒーのSサイズも同80円に値下げしたが、収益が悪化して値上げした経緯があるなど、価格設定でも迷走する動きがみられる。
少ない客数は立地が影響している。都内では他社より不便な場所にあり、駅前よりも住宅街などやや離れた場所で見かけることが多い。「日販が低く好立地に出店できない→立地が悪いので収益が悪化する」の負のループに陥っていると思われる。北海道のセイコーマートのように、特定の地域で高いシェアを握っているわけでもない。
かつて年間に70億円超をかけていた広告宣伝費も、近年は10億円強まで削減しており、テレビCMで見かける回数も少なくなっている。1店舗1日当たりの客数は、この10年で100人ほど減少しており、広告宣伝費の縮小が客数減に影響している。一般的に、企業の不正や偽装は業績の悪化局面で起きやすい。長期で業績が悪化する中、少しでも売り上げを確保するため、店舗側が前述の偽装を働いた可能性も見えてくる。
直営店の閉鎖で2026年度の上半期は収益が改善したが、下期は消費期限の偽装問題が業績に影響を与えようとしている。店内調理のおにぎり・総菜・弁当の販売を再開しているとはいえ、メニューからその強みや方向性が見えてこない。
弁当類はカレーに力を入れているが、総菜やおにぎりの特徴が薄い。競合ではローソンが「まちかど厨房」というブランド名で店内調理品を展開している。まちかど厨房はロースカツを中心としたメニュー構成で、現役世代の男性を狙っていることが分かる。このように、強みであった店内調理で他社が追い上げている状況だ。
「コンビニキラー」といわれるイオンの「まいばすけっと」も脅威だろう。首都圏を中心に展開する小型スーパーで、飲料や食品をコンビニより安く提供しながら生鮮3品も販売し、高い利便性が消費者の支持を集めている。
イオンは2024年度末の約1200店舗から、2030年には2500店舗まで増やす方針だ。ミニストップの跡地にまいばすけっとが出店する事例も確認されている。イオンは現在、ミニストップの株式を48.71%保有し、同社を連結子会社化している。まいばすけっとの攻勢でミニストップが不要と判断されれば、今後も厳しい状況が続くかもしれない。
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
ミニストップ、新店舗オープン 専門店レベルのファストフードとスーパーのような品ぞろえに特化
「おにぎり100円」「コーヒー80円」のミニストップ 値下げ以外に求められる“大改革”Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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