ただし、注意点がある。
AIの指摘が「的を射ているか」「的外れか」を、あなた自身がジャッジしなければならないということだ。
自分で作ったものに自信があり、かつ客観的に評価できる目を持っていないと、AIの意見に振り回されて終わる。だから、自分で汗をかいて「正しい計画は、どのように作成すべきか」「相手の心を揺さぶる企画書はどんな構成であるべか」しっかり勉強し、基礎力を持たないといけない。
最初からAIに叩き台を作らせていたら、いつまで経ってもこの力は身につかない。
整理しよう。AIの使い方には、良い使い方と悪い使い方がある。
良い使い方は2つ。一つは「基本リサーチ」だ。情報を整理させ、短時間で全体像を把握する。もう一つは「異視点の抽出」だ。自分が作ったものを批評させ、気付けなかった視点を得る。AIは人間にはできないクリティカルシンキングを、しがらみなく実行してくれる。
「ドラフト作成」もAIの使い方として主流だが、それぐらいは自分でやったほうがいいと考えている。AI独特の「揺らぎ」があるせいで、後々の「修正作業」を考えたら自分で手を動かしたほうが早いからだ。
ゼロから作らせるのではなく、自分で作ったものを叩いてもらう。これがAIとの正しい付き合い方だ。
冒頭の部長は、部下にこう締めくくった。
「楽をするためにAIを使うな。成長するためにAIを使え」
AIは便利な道具だ。しかし、使い方を間違えると、あなたの成長を止めてしまう。自分で汗をかき、頭を使い、苦労して作り上げる。その過程を省略してはいけない。AIという辛口の評論家を味方につけて、あなた自身の思考力を磨いていこう。
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