中国の「渡航自粛」、日本企業は本当に困るのか 影響が最も大きい業界は?

» 2025年12月15日 05時00分 公開
[ITmedia]

 中国外務省は11月14日、自国民に対し日本への渡航を当面控えるよう注意喚起した。中国人の渡航自粛は日本経済にどのような影響をもたらすのか。帝国データバンクが調査を実施した。

中国の渡航自粛は日本経済にどう影響する?(出所:ゲッティイメージズ)

 中国の渡航自粛について「マイナスの影響がある」と答えた企業は42.8%で、「影響はない」(40.8%)と拮抗した。「プラスの影響がある」とした企業は5.6%だった。

 「マイナスの影響がある」とした企業からは「客数の減少による影響が多少みられる」(飲食店)、「観光業、小売店にはマイナスの影響が出る」(不動産)といった声が寄せられた。ビジネス渡航への影響を懸念する意見もあった。

 今後半年程度については「マイナスの影響がある」とした企業は36.4%と減少し、「プラスの影響がある」企業は11.1%に上昇した。企業は今回の渡航自粛の影響を限定的と捉えていることがうかがえた。

 「中国経済にとってもマイナスになりかねないため、半年後には影響は小さくなっていると考える」(機械製造)など事態の収束を見込む声や、「脱・中国依存」への展開がプラスに働くとするコメントも寄せられた。

中国の渡航自粛に伴う日本経済への影響(出所:プレスリリース、以下同)

 現在「マイナスの影響がある」とした企業が最も多かった業界は、観光客の減少で直接的な影響を受ける旅客運送業や旅行業を含む「運輸・倉庫」(53.8%)だった。

中国の渡航自粛に伴う現在の影響について(主要業界別)

 今後半年程度の影響では、中国人留学生の賃貸需要やマンション購入需要の減少が懸念される「不動産」の42.6%が「マイナスの影響」を見込んだ。一方「小売」は21.7%が「プラスの影響」を見込み、全体を10ポイント以上上回った。

中国の渡航自粛に伴う今後半年程度の影響について(主要業界別)

 帝国データバンクは「多くの企業は今回の渡航自粛を冷静に受け止めている」と分析。ただし、12月7日には航空自衛隊の戦闘機が中国戦闘機からレーダー照射を受けたと発表されるなど日中間の緊張が高まっており、早期収束は見通しにくいと指摘している。

 その上で「企業はこの機会を捉え、顧客ターゲットや調達先などの取引先を中国に過度に依存しないよう分散化を進めるとともに、国内市場の需要拡大にも注力することが重要である」とコメントした。

 本調査は12月5〜9日、1197社を対象にインターネットで実施した。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR