【Q&A】フレックスタイム制なのに朝9時から定例会議……これって違法では? 弁護士が解説(3/3 ページ)

» 2025年12月23日 08時00分 公開
[佐藤みのりITmedia]
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過去に裁判になった事案も

 過去にフレックスタイム制の勤務時間をめぐり、裁判になった事案があるので、ご紹介します。

 その会社は、コアタイムなしのフレックスタイム制を導入したにもかかわらず、営業時間は変わらず「午前9時から午後5時15分まで」として、営業を開始する午前9時までに出勤しない場合には、出勤時刻を前もって会社に連絡するよう全従業員に対して指示していました。

 しかしある従業員が、午前9時までに出勤しないことが常態化しており、会社にも前もって出勤時刻を連絡することもほとんどなかったため、会社がその従業員に対して、午前9時の出勤を命じ、「午前9時に遅刻することなく出勤する」という誓約書を書かせました。

 その後も、その従業員の勤務態度が不良だったため解雇したところ、従業員が解雇の有効性を争い、裁判になりました。

過去に裁判になった事例も

 その裁判の中で、裁判所は「コアタイムなしのフレックスタイム制を採用している以上、このような誓約項目を記載しても、従業員に無遅刻を義務付けることはできない」と判断しました。午前9時までに出勤しなかったこと自体は何ら非難されるべき事柄ではなく、これを理由に不利益な処遇を受けるべきではないとしています。

 質問者が勤める会社では、コアタイムを設定しているのですから、部署の従業員全員が集まるべき会議は、その時間帯に設定するべきでしょう。

 そもそもコアタイムは、全員がそろって会議をしたり、業務の相談をし合ったり、業務の進捗状況を把握しやすくしたりするために設けられることが多いです。

 コアタイムの時間帯は協定で自由に定めることができ、コアタイムを設ける日と設けない日があったり、日によって時間帯を変えたりすることも可能です。

 コアタイムを設定しているのであれば、それを有効活用することにより、効率よく会議や業務を進める体制を作るとよいでしょう。

佐藤みのり 弁護士

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慶應義塾大学法学部政治学科卒業(首席)、同大学院法務研究科修了後、2012年司法試験に合格。複数法律事務所で実務経験を積んだ後、2015年佐藤みのり法律事務所を開設。ハラスメント問題、コンプライアンス問題、子どもの人権問題などに積極的に取り組み、弁護士として活動する傍ら、大学や大学院で教鞭をとり(慶應義塾大学大学院法務研究科助教、デジタルハリウッド大学非常勤講師)、ニュース番組の取材協力や法律コラム・本の執筆など、幅広く活動。ハラスメントや内部通報制度など、企業向け講演会、研修会の講師も務める。


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