その際に重要となるのがオンラインデータとオフラインデータを融合した検証サイクルの構築です。
EC上のアクセス傾向と、店舗への来店・購買の相関性を常に指標として見ていく必要があり、その際には人流データの活用も必須となります。ECで検索、購入したユーザーが店舗にも来ているかどうか。もしくは店舗に来店した人がECへアクセスしているかどうか。オンライン上のデータ分析は各社が高い精度で推進していますが、人流データと合わせて独自の指標を構築できている企業は多くありません。人流データ=オフラインデータの活用は全ての小売業が活用すべきデータと言っても過言ではないでしょう。
店舗来店のみならず購買データまでを取得・検証していくにはID-POSデータを活用することが必要です。「誰が、いつ、どこで、何を、いくつ、いくらで買ったか」――これを個人単位で把握するとともに「20代女性」「〇〇地域在住の60代層」などターゲット属性区分の傾向分析につなげていくのです。
大きな潮流で見れば人口減少、物価高などで市場は厳しいと見られがちです。しかし限定した範囲でデータ分析の精度を上げれば商機があります。そのポイントの一つがECと店舗データの連携です。
結論として、EC市場は今後も拡大していくことでしょう。ただし、その拡大は市場規模の単純な増加ではありません。ECは、物流、広告、データ、金融、店舗を巻き込みながら、産業構造そのものを変え続けています。問うべきなのは「EC市場が伸びるかどうか」ではなく、「ECを前提として事業設計ができているかどうか」です。EC市場の成長を待つ企業と、ECを前提に事業を組み替える企業の差は、これからさらに広がっていくでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
佐久間俊一(さくま しゅんいち)
レノン株式会社 代表取締役 CEO
城北宣広株式会社(広告業)社外取締役
著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。
グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティングにて小売企業を担当するセクターのディレクターとして大手小売企業の制度改革、マーケティングシステム構築などDX領域のコンサルティングを多数経験。世界三大戦略コンサルファームとも言われている、ベイン・アンド・カンパニーにおいて2020年より小売業・消費財メーカー担当メンバーとして大手小売企業の戦略構築支援及びコロナ後の市場総括を手掛ける。2021年より上場会社インサイト(広告業)のCMO(Chief Marketing Officer)執行役員に就任。
2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。
2019年より1年半に渡って日経流通新聞にコーナーを持ち連載を担当するなど小売業には約20年間携わってきたことで高い専門性を有する。
日経MJフォーラム、KPMGフォーラムなど講演実績は累計100回以上。
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