職場で起こりがちなトラブルを基に、ハラスメント問題に詳しい佐藤みのり弁護士が詳しく解説します。
Q: 子育て世代の部下を持つ管理職です。「子どもの送り迎えがあるので残業は一切できません」と宣言している部下に対して、繁忙期だけでも残業をお願いすることはハラスメントに当たりますか?
慶應義塾大学法学部政治学科卒業(首席)、同大学院法務研究科修了後、2012年司法試験に合格。複数法律事務所で実務経験を積んだ後、2015年佐藤みのり法律事務所を開設。
A: 残業をお願いするだけで、直ちにハラスメントになることはありません。ただし、社会通念上、不相当な方法で強要するなどすれば、ハラスメントに当たる可能性があります。
まず労働時間については、原則1日8時間以内、1週間で40時間以内の範囲にする必要があります(労働基準法32条)。
ただし従業員の過半数が加入している労働組合(過半数が所属している労働組合がない場合は、従業員の過半数の代表者)との間で、会社が「時間外労働・休日労働に関する協定」を書面で結び、労働基準監督署に届け出れば、1日8時間以内、1週間で40時間以内を超えて働かせることができます(労働基準法36条)。
この協定は、労働基準法36条に規定されていることから、「36協定(サブロク協定)」と呼ばれています。
そして、合理的な就業規則または労働協約において、「業務上の必要性があるときは、36協定の範囲内で残業指示に従う義務がある」旨、定められている場合、会社は、従業員に対し、法定労働時間を超えた残業も命じることができ、原則として従業員は命令に従わなければなりません。
ただし、業務上必要のない残業命令であったり従業員が体調不良であったりするなど、一定の場合には従業員が残業を拒否できることがあります。質問者の事案のように「育児の必要がある」場合も残業を拒否できる可能性があります。
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