半導体とレアアースはどこへ向かうのか 2026年に高まる“見えないリスク”世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)

» 2025年12月26日 06時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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ビジネス影響拡大が懸念される2026年

 こうした動きに、日本はどう対応すべきか。高市総理の「台湾有事が存立危機になる可能性」を述べた発言以降、日中関係は悪くなっている。ただ、中国は日本に対して、レアアースの輸出規制や禁輸措置を行っていない。

 今後、関係がさらに悪化すると、レアアースなどが関係する措置をとる可能性がある。そうなると、日本のビジネスにも大きな影響を及ぼすだろう。

 中国は2025年10月、「商務部公告2025年第61号」を発表。中国原産のレアアースを使った海外製品について、他の国に輸出する場合に中国の許可を必要とする輸出規制を実施すると明らかにした。また軍事用途については、原則不許可にするという。これが実施されたら、中国のレアアースを使った日本の製品を海外に販売する際、中国の許可が必要になる。そうなると日本企業にも混乱が生じるのは間違いない。

 これに対してトランプ政権は、11月の米中通商交渉で、この規制の施行を1年間(2026年11月まで)、中国政府に停止させた。しかし、撤回ではなく停止に過ぎないため、日本を含む中国国外の企業は2026年、代替調達先を探すか、様子を見るべきかという難しい経営判断を迫られるだろう。

日本企業のビジネスにも大きな影響を及ぼすかもしれない(画像提供:ゲッティイメージズ)

 日本でもこうした重大なリスクを前に、対策を進めている。例えば、レアアースを開発するオーストラリア企業への出資を拡大し、カザフスタンやベトナムとは鉱山開発と技術協力で合意している。また「国産レアアース」の確立に向けた動きもあり、南鳥島周辺のレアアース泥で、2020年代後半から供給できるように体制構築を目指している。加えて、製錬・分離プロセスでも中国依存から脱却するために、国内のプラント建設に補助金を投入している。

 ビジネスのみならず安全保障問題として、国家に影響を及ぼす半導体やレアアース。政府や企業にとっては、優先事項の一つとして対応が必要だ。2026年はそのプレッシャーが強まるだろう。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 ジャーナリスト、研究者。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)、『死体格差 異状死17万人の衝撃』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本 MI6、CIAの厳秘インテリジェンス』(講談社+α新書)がある。

Twitter: @yamadajour、公式YouTube「SPYチャンネル


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