Googleが示した「4本の柱」から読み取れるのは、以前から提唱されている「ユーザー体験(UX)」へのさらなる傾倒です。
もちろん、タグの最適化や構造化データの実装といった技術的な施策は依然として有効です。しかし、検索エンジンの理解力が飛躍的に向上した今、技術的な体裁を整えること以上に、コンテンツの中身そのものが正しく評価される段階へと移行しています。
AI検索で簡易的な情報収集が完結してしまう現代において、Webサイトに求められるのは訪問後の「実体験」です。単に流入数だけを追うSEO戦略は、終わりを迎えようとしているでしょう。これからは滞在時間やコンバージョンといった、ユーザーの満足度を示すエンゲージメントの質にこそこだわるべきだと考えます。
またゼロクリックサーチの増加が避けられない中で、真に重要なのは、サイトでの良質な体験を通じて「ブランド」を認知してもらうことです。「このサイトなら間違いない」という信頼を築き、指名検索による再訪問につなげること。これこそが、AI時代のWeb戦略における核心となります。
AIブーム自体は過去にも存在しましたが、当時は検索やインターネット基盤が未成熟でした。生成AIが検索体験そのものに影響を与えるのは現在が初めてであり、その点で今回の動きは質的に異なります。歴史的に見ても、こうした技術革新は一過性のものではなく、数年単位で続く不可逆な変化となるでしょう。
したがって、AI検索への対応は単なる一時的な施策ではなく、中長期的な視点で取り組むべき経営戦略といえます。
今後はAIが参照しやすいナレッジ設計や、質問・回答に最適化したUX、そして「4本の柱」を担保する情報の監修体制が重要になります。同時に、現時点では信頼性や権威性の高い「エンティティ(実体)」を持つサイトが、依然として有利です。そのため、一次情報の発信や外部評価の獲得など、サイト外も含めた「ブランドとしての信頼構築」が欠かせません。
結局のところ、従来のSEOで培った土台を生かしつつ、その上に「AIに評価され、人間に選ばれる体験」をいかに積み上げられるかが勝負となります。重心はすでに、技術的な最適化から「AI時代の体験設計」へと移り始めています。
田中雄太
たなか・ゆうた デジタルアイデンティティ SEOエヴァンジェリスト、コンサルタント。SEO集客からの売り上げ・問い合わせ増加など、セールスファネル全体のコンサルティングが可能。『薬機法管理者』の資格を有し、表現の規制が厳しい薬機法関連分野のマーケティングにも精通。
デジタルアイデンティティWebサイト:https://digitalidentity.co.jp/
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