自動車業界は電動化やカーボンニュートラル、新技術の進化、消費者ニーズの変化など、さまざまな課題に直面している。変化が激しい環境の中で、求められる戦略は何か。未来を切り開くには、どうすればいいのか。本連載では、自動車業界の未来を多角的に分析・解説していく。
「正月感がなくなった」という話は、以前からさまざまな業界で言われている。それをクルマで端的に感じるのは、フロントマスクに正月飾りをつけたクルマをほとんど見かけなくなったからではないだろうか。
かつて日本では、正月を迎えるにあたり、自宅の玄関だけでなくクルマにも正月飾りを施す光景が見られたものだ。フロントグリルやナンバープレート付近に小さなしめ飾り(しめ縄飾りとも言う)を取り付け、年神様を迎え入れると同時に1年の交通安全を祈願するという風習である。しかし、近年はこのような正月飾りを目にする機会が減った。
高度経済成長期以降、クルマは「家の一部」あるいは「家族の象徴」として扱われ、クルマの正月飾りにも自然な意味づけがなされていた。しかし現代では、クルマは実用的な移動手段としての性格が強まり、宗教的・儀礼的な意味を付与する対象として捉えられにくくなっている。
特に若年層を中心に、正月行事そのものを簡略化する傾向があり、門松や鏡餅を飾らない家庭も増えている。その流れで、クルマの正月飾りも「しなくてもよいもの」と認識されるようになったと考えられる。こうした生活様式や価値観の変化が、クルマから正月飾りがなくなっていった理由の一つだろう。
コンビニエンスストアなど24時間営業の店舗が増え、ネット通販の普及によっていつでもあらゆる商品が手に入りやすくなった。最近は経営者の高齢化や人手不足によって、深夜営業を取りやめる店舗もあるようだが、年中無休の店舗が増えたことも正月らしさを感じにくくさせた一因だろう。
ハロウィーンなど、筆者の子ども時代にはなかったイベントが増えていることからも、伝統行事の存在感が薄らいでいる印象もある。また、気候変動により四季を感じにくくなってきたことも、正月感を薄めている要因の一つだろう。
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