クルマのヘッドライトは明るいほどいいのか 「まぶしさ」を解消する最新技術高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)

» 2025年08月15日 06時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

高根英幸 「クルマのミライ」:

自動車業界は電動化やカーボンニュートラル、新技術の進化、消費者ニーズの変化など、さまざまな課題に直面している。変化が激しい環境の中で、求められる戦略は何か。未来を切り開くには、どうすればいいのか。本連載では、自動車業界の未来を多角的に分析・解説していく。

 クルマのヘッドライトが、このところ急速に進化を遂げているのをご存じだろうか。

 クルマのヘッドライトは長らくハロゲンバルブに頼ってきたが、新たな光源としてディスチャージ(放電型=キセノン、HIDなどとも表記される)ヘッドランプが開発されると、明るさは一気に高まった。今では、LEDを光源にした明るい省電力のヘッドライトが主流となりつつある。

 それ以前は、ヘッドライトを明るくする手段として、より高電力なハロゲンバルブへの交換や、ヘッドライトに電力を供給するハーネスをバッテリーから直接引く、あるいはフォグランプやドライビングランプ(フォグランプほど広い配光ではない補助ランプ)の増設などの改造を行うしかなかった。よほどのクルマ好き以外は、暗いヘッドライトで我慢を強いられていた(それが当たり前だから我慢ではないか)。

1950年代から80年代まではシールドビームやハロゲンヘッドランプがほとんどで、丸型や角型のヘッドランプを備えていた(写真:evannovostro - stock.adobe.com)

 ヘッドライトの表面レンズで配光特性を決めていたシールドビーム(ヘッドライトレンズまで一体型の電球)やハロゲンヘッドランプ(バルブ交換式のヘッドランプ)が長く主役を務めていたが、そんな電球から一気に進化が始まったのは、1980年代後半。日本がバブル景気に沸き始めた頃だ。

 プロジェクター式のヘッドランプが登場した時の衝撃はかなりのものだった。従来の電球型から、光束(こうそく:光源から出る全ての光の量)を集約するレンズによる投射型にすることで、より明るいヘッドランプを実現したのだ。

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