これはドイツのヘラ社が最初にBMWに搭載し、日本の自動車メーカーも、小糸製作所が開発したプロジェクターランプを採用し始めた。小糸製作所の製品の方がレンズ径が小さく、よりスタイリングの自由度が高まった。
しかし一気に小径化したことで、スタイリングを作り上げるデザイナーの感覚が追いつかず、しばらくはデザインに生かしきれていない状況が続いた。従来のハロゲンランプとグレードで使い分けたり、オプション扱いにしたりしていたため、スタイリングの変化は乏しくならざるを得ないのも当然だった。
またプロジェクターランプをデザインの特徴にしたことで不評を買い、マイナーチェンジでより普遍的なフロントマスクへと修正したクルマもあった。
かつてホンダは、インテグラを1995年にモデルチェンジしたが、プロジェクターヘッドランプだけのシンプルなマスクが不評で、2年たたずに薄型2灯のヘッドライトにマイナーチェンジしたことがある。写真はマイチェン前の前期型(写真:ホンダ)その後、リフレクター(反射鏡)の形状を複雑にして配光を振り分けるマルチリフレクター式も登場する。
これは従来のハロゲンバルブを使い、射出成形(合成樹脂の加工法)で作られた部品を組み立てるだけで、従来のハロゲンヘッドランプと変わらないコストで幅広い配光特性ときらびやかな印象が得られる。フロントマスクの厚いミニバンがブームとなったこともあり、日本車ではマルチリフレクター式が急速に普及していった。
またプロジェクター式ヘッドランプの登場により、より強い光源のHIDも登場し、マルチリフレクターとHIDも組み合わされるようになる。
こうしてヘッドライトは、明るさとフロントマスクのデザイン性を高めるために進化してきた。
しかしそれに伴って最近、新たな問題が表面化している。対向車や後続車のヘッドライトをまぶしいと感じるドライバーが続出していることだ。この原因はヘッドライト本体だけでなく、ドライバーの特性も影響している。
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