現在では、レーザー光を光源にするヘッドライトも登場している。これはアウディやBMWが実用化したもので、ハイビームの補助として使うことで、600メートル先まで照らすことが可能だという。
人間の目に対しても安全で、基本的に高速道路で前走車がいない時に使用できるようになっている。しかし、対向車などからはまぶしいという苦情も聞こえてくる。
北米ではヘッドライトの保安基準が欧州や日本とは異なり、レーザー光のライトは認可が下りないなど、導入には制約もあった。またLEDヘッドライトの性能が向上していることから、BMWはラインアップから姿を消すなど、まだまだ課題が残された新技術といえそうだ。
そもそも夜間の視界をヘッドライトだけに頼ってきたわけではない。ゼネラルモーターズがナイトビジョンを実用化したのは2000年のことだ。同社はヘッドライトによる夜間視界には限界があると判断し、遠赤外線カメラによって歩行者や障害物を検知してドライバーに知らせるシステムを開発した。その後、さまざまな自動車メーカーが同様のシステムを導入している。
しかし、ヘッドライトの進化により、このナイトビジョンは今や必然性が薄くなっているようだ。
自動運転が普及すれば、有視界走行である必要はあまりない。しかし、完全自動運転になっても人間が管理し続ける必要はある。今後、より安全で広い視界を誇るヘッドライトが開発されてクルマに備わることも不可能ではないかもしれない。
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。
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