自動運転は「レベル2」で十分である理由 完全自動運転も“完璧”ではない高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)

» 2025年05月16日 06時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

高根英幸 「クルマのミライ」:

自動車業界は電動化やカーボンニュートラル、新技術の進化、消費者ニーズの変化など、さまざまな課題に直面している。変化が激しい環境の中で、求められる戦略は何か。未来を切り開くには、どうすればいいのか。本連載では、自動車業界の未来を多角的に分析・解説していく。

 悲惨な交通事故が起こるたびに「早く完全自動運転が普及すれば……」という意見が、ニュース記事のコメント欄に散見される。確かに運転ミスによる交通事故は、自動運転の普及で防げるケースが増えるだろう。

 だが、人間だからミスをする、機械なら正確だ、と考えるのは果たして正しいのだろうか。

 今年に入って、自動運転車による悲惨な交通事故が報じられた。中国の家電メーカーXiaomi(シャオミ)が販売した高性能EVが、自動運転レベル3での走行中に障害物を検知し、それを回避するどころかドライバーに運転の主権を移譲したのだ。

Xiaomiの高性能EV、SU7。モーター出力やバッテリー容量によってグレードが異なり、高性能モデルの危険性はこれまでも報道されてきた(写真:Tada Images - stock.adobe.com)

 衝突までわずか2秒前の状態でシステムが運転を放り出した結果、ドライバーは何もできずに衝突してしまった。乗員は女子大生3人だったと言われているが、残念なことに若い命が3人も犠牲になったのだ。

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