自動運転レベル4を実現するには、十分に整備された道路環境に限られ、速度も制限する必要がある。すでに導入され始めているレベル4の自動運転バスは、ルートを定め、速度を時速25キロに制限しているから運行が可能なのであり、これを乗用車に適用しても利用したいと思うドライバーは少ないだろう。
であれば、乗用車の自動運転は、すでに実現している中では高度なレベル3ではなく、レベル2で利用する方が安全で確実だ。
レベル2の半自動運転はクルマを人が見張る状態。つまり、常に運転に参加している必要がある。操舵も加減速もクルマがしてくれるが、ACC(アダプティブクルーズコントロール)は、カーブのきつさによって速度を調整する機能はない(日産のプロパイロット2.0はカーナビ内の地図データを読んで速度を調整できる)から、自動車メーカーによっては都市高速での利用は推奨していない。
結局、センサーはエラーを起こす可能性がある部品なのだから、常にドライバーが監視している方が安全で確実といえる。それは自動運転ではなく、やはり運転支援システムと呼んだ方がしっくりくるものだ。
ダイムラートラックグループのフレイトライナーは米国で自動運転によるトラック輸送の実証実験を行っていたが、これは広大な国土で道路にも余裕があるからできるともいえる。日本はいまだ新東名高速道路で夜間自動運転専用レーンを設けて実証実験を行う程度だ(写真:ダイムラートラック)先日、マイナーチェンジされた新型CX-60をマツダから借りて、スーパー耐久選手権第2戦が開催された鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)までの往復1500キロを実際に走って、レベル2の自動運転を使ってみた。
車線内で左右どちらかに寄ってしまうことはあったものの、LAS(レーンキープアシストシステム:車線内を維持するよう操舵する装置)はまずまずの精度だった。
ただし、夜間・雨天時のトンネル内では路面の状況が分かりにくく、車線を見失うことで頻繁にLASがキャンセルされ、十数秒後に再び作動するようなシーンが見られた。画像解析による車線認識には限界があるということだろう。
マツダCX-60のLASが走行中にキャンセルされる様子。ステアリングに手を添えている必要があるため、キャンセルされても車体が不安定になるようなことはないし、十数秒程度で自動復帰するケースがほとんどだった(筆者撮影)
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