激しい雨が降りしきる中の走行では、およそ100キロ走行ごとに「ミリ波レーダーの前部カバーが汚れました」という表示とともにACCが強制的にキャンセルされた。通常走行は可能だが、その都度サービスエリアやパーキングエリアに入って、エンジンを停止し、システムを再起動させた。
ACCのキャンセルについて検索すると、ACCを解除する方法の解説しか見当たらないが、問題はそこではない。ACCを設定しても、システム側でキャンセルされるケースがあるのだ。その状況はメーカーごと、シチュエーションごとに違ってくる。ドライバーはそうした特性を理解して利用する必要があるだろう。
カメラに頼れない悪天候こそ、ミリ波レーダーの本領発揮ではないか、と思う人もいるかもしれないが、これが現実というものだ。
だが、これでいいと思う。結局はドライバーが責任を負うのだから、ドライバーが管理し続ける必要があるのだ。自動運転を補助的に利用しても、ドライバーは十分恩恵を受けられる。長距離移動における目や体の疲れはかなり軽減される。
渋滞時の再発進も、完全停止から数秒たつとアクセルペダルを踏む必要があるものの、すぐにACCが再設定されて前の車に追従した。個人的には車間距離の調整範囲をもっと広げて、距離を多めに取れるようにしてほしいと思ったが、それ以外に不都合は感じなかった。運転操作が大幅に軽減されているにもかかわらず、やたらと休憩を勧めてくるが、これも安全を優先させたものだと思えば納得がいく。
それどころかドライバーの視線をモニタリングしているため、脇見をしていると警告される。これは居眠り運転や体調急変などを検知すると、路肩に停止して自動で緊急通報してくれる「CO-PILOT」の機能を利用している。これもドライバーが安心できる自動運転システムだ。
このレベル2のまま、精度や安定性が高まってくれば、自動運転はさらに使い勝手のいいものに仕上がるだろう。
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。
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