「国産VS.アジアン」選ぶ理由が変わった タイヤ市場の二極化とメーカーの打ち手高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)

» 2025年07月18日 08時00分 公開
[高根英幸ITmedia]

高根英幸 「クルマのミライ」:

自動車業界は電動化やカーボンニュートラル、新技術の進化、消費者ニーズの変化など、さまざまな課題に直面している。変化が激しい環境の中で、求められる戦略は何か。未来を切り開くには、どうすればいいのか。本連載では、自動車業界の未来を多角的に分析・解説していく。

 近年、クルマのパワーユニットは多様化し、ガソリン車やディーゼル車、ハイブリッド車に加えて、プラグインハイブリッド車やバッテリーEVも市民権を得ている。ボディの形状も、SUVやスーパーハイトワゴンなど、従来はなかったバリエーションが登場している。

 それらのクルマに共通するのは、路面と接しているのはタイヤだけという事実だ。

路面と接し、クルマを支えているのはタイヤだ(画像提供:ゲッティイメージズ)

 そしてタイヤの銘柄も実にたくさんの種類がある。タイヤメーカー→ブランド→シリーズという順に細分化されている。一つのメーカー内にも複数のブランドがあり、さらにそれぞれに複数の銘柄を用意している。

 例えばブリヂストンでは、高級車向けのコンフォートタイヤとしてREGNO(レグノ)、スポーツラジアルのPOTENZA(ポテンザ)、ウエット性能を強化したPlayz(プレイズ)、エコタイヤのECOPIA(エコピア)、オンロードSUV用のALENZA(アレンザ)、オフロード志向のSUVタイヤのDUELER(デューラー)、スタンダードタイヤのNEWNO(ニューノ)と、夏タイヤだけで7種類のブランドを擁している。

ブリヂストンのWebサイトに掲載されているブランド一覧。この下にDUELERとスタッドレスタイヤのBLIZZAK(ブリザック)が続く(出典:ブリヂストン)

 ダンロップも同様にVEURO(ビューロ)、SPORT MAXX(スポーツマックス)、DIREZZA(ディレッツァ)、ENASAVE(エナセーブ)、GRANDTREK(グラントレック)と5種類のブランドを展開している。

 ほとんどのタイヤメーカーが目的別にブランドを分類しているが、横浜ゴムはやや異質な傾向を見せている。

 横浜ゴムでは、スポーツラジアルのADVAN(アドバン)が圧倒的な支持を集めている。そのため、以前はコンフォート&エコのDNAやライトスポーツのAPEXなどのブランドが展開されていたが、ADVANを同社のメインブランドとして集約する動きを見せている。

 ADVAN以外では、エコタイヤのBluEarth(ブルーアース)やSUVオフロード系のGEOLANDAR(ジオランダー)というブランドがあるシンプルな構成だ。これはユーザーにとって分かりやすく、横浜ゴムらしさを訴求できるブランディング戦略といえそうだ。

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