クルマの美観を高め、維持するカーディテイリングビジネスが活況を見せている。すでに日本の新車市場は縮小傾向にあるが、カーディテイリング市場規模は年々拡大する傾向にあるのだ。
日本の自動車産業全体の市場規模は70兆円とも言われているが、少なくともそのうちの数%はカーディテイリングが占めていると思われる。
元々日本は欧米と比べると、洗車ビジネスが占める割合は自動車産業の中でも少なかった。北米では街のあちこちに洗車業者が存在し、手洗い洗車サービスを行う様子が見られたものだ。これらは移民の安い労働力によって支えられていたが、全体の市場規模としてはかなりのボリュームになる。
雨の少ないカラッとした気候のため、砂埃がクルマに付着しやすく、洗車の需要は高い。さらにクルマの塗装面を鏡面に磨き込む傾向も早くから芽生え、鮮やかなボディカラーのクルマが光沢感を誇るように街を走るようになった。
そもそもFAXの時代から通信販売が普及していた広い北米市場でカーディテイリング用品を販売してきたメーカーは、1980年代から高級ワックスやカーシャンプー、ボディを磨き上げるネルのクロス(ワックスがけ用のふき取りクロス)などをクルマ好き向けに販売してきた。
その頃の日本はというと半練りワックスという研磨剤入りのペースト状ワックスが主流だった。自宅やガソリンスタンドで洗車し、駐車場でワックスを掛けるというのが1970年代ごろまでの日本の洗車事情だった。
洗車を専門に行う業者は戦後あたりから存在はしていたが、在日米軍の軍人が乗っていたアメ車を購入した日本人がリフレッシュのために内装の丸洗いを依頼するようなケースを除けば、深夜や早朝にタクシーを素早く洗うサービスが目立つくらいであった。自宅でクルマを洗える環境をもつユーザー以外は、ガソリンスタンドで給油のついでに洗車するのが一般的だったのだ。
しかし自家用車が当たり前になり、クルマが大きく豪華になっていくと、洗車の環境もグレードアップされていく。
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