街を走るクルマを眺めていると、「いかにもそのブランド」という、分かりやすいフロントマスクのクルマを見かけることが多い。そうかと思えば、同じボディなのに全く異なる顔つきをもつクルマや、同じメーカーとは思えないほど印象が異なるクルマも少なくない。
フロントマスクはクルマを最も印象付けるものであり、売れ行きを左右するほど重要な要素だ。それだけに自動車メーカーもデザインに力を入れる部分となる。したがって、フロントマスクにはさまざまなメーカーの思惑が存在する。
端的に言えばこれは、ブランド戦略の違いによるところが大きい。メルセデス・ベンツやBMWといったドイツの老舗メーカーは、伝統を強みにエンブレムやフロントマスクをアイコンとしてブランドイメージを強調するビジネスを展開してきた。
今ではほとんどの自動車メーカーが採用している、ボディ後端のトランクリッド中央にエンブレムを掲げるデザインも、この2大ブランドが始めたものだ。
日本では、ミニバンや軽自動車などにギラついた大きなフロントグリルを与えたクルマも多い。オラオラ顔とも表現される。堂々とした顔つきを好む層が一定数存在するのだ。こうした文化も元をたどれば、こわもてのドイツ車に憧れるユーザーの心理を利用したものでもあると言えそうだ。
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