クルマの“顔つき”はどうやって決まる? デザインに表れる思惑とは高根英幸 「クルマのミライ」(2/5 ページ)

» 2024年05月03日 08時18分 公開
[高根英幸ITmedia]

継承なんてくそ食らえ、というブランドも

 ブランドイメージを浸透させるため、共通したフロントグリルなどのデザインを導入するメーカーが多い一方で、世代ごとにイメージを一新して、新しさをアピールするブランドもある。これはフランスの自動車メーカーに多く見られるもので、プジョーやシトロエンはそんな傾向が顕著であるし、ルノーにもそんな傾向が見られる。

 芸術的なセンスでクルマを生み出すお国柄なため、常に斬新さを求め、今までのイメージを自ら打ち壊すことを厭(いと)わない、そんな気概を感じさせるのだ。

シトロエンはダブルシェブロンと呼ぶ歯車の歯の噛(か)み合いをエンブレムとし、それを生かしながらも常に斬新なフロントマスクを生み出している。写真は現行モデルのC3

 イタリアのメーカーはさらに自由で、メーカーとしてブランドイメージの共通化やデザインモチーフの継承なんてどうでもいい、と思っているのではないだろうか。

 フィアットなんてエンブレムもコロコロ変えるくらい、伝統よりもその時のデザイン性にこだわっている印象だ。フィアット500は自身の遺産としてリバイバルされているが、それ以外は先代の面影を感じさせるモデルを見つける方が難しい。例外はアルファロメオの盾型フロントグリルくらいだろうか。

フィアットはかつての名車500をモチーフに、現代によみがえらせている。しかし他のモデルとの共通性はなく、自由なデザイン展開を行うブランドだ

 フェラーリやランボルギーニはスーパーカーとしてのアイデンティティーを確立しており、シルエットやディテールなどで伝統を感じさせる必要があるが、ニューモデルには斬新さも必要だ。そのためにフロントマスクで新しさを印象付ける、というのも定番の手法になりつつある。

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