クルマの価格が高くなったという声をよく聞く。軽自動車で200万円超えは当たり前、普通車なら500万円を超えていてもリーズナブルという表現をするメディアも見かける。
それはある意味では正しい。しかし、本当にそうだろうか、という考えも頭をよぎる。なぜなら比較する領域があまりに狭く、クルマの過去と未来を考えていないからだ。
以前と比べて社会保険料の負担が増加し、可処分所得が減少していることも影響しているのだろうが、庶民にクルマを買う余裕がなくなっていることは事実だ。
国内でクルマの価格が高くなった理由はいろいろある。原料である鉄やアルミ、プラスチックなどが高くなったことに加え、昔と比べクルマに要求される要素が複雑になり、その性能の要求レベルが高くなったことも影響している。
スズキの「スペーシア」は、ハイトワゴンとして今や定番のブランド。現行モデルは180万円スタートだが、グレードにより200万円を超えることも珍しくない。衝突被害軽減ブレーキはもちろん、装備も充実しているコンピュータによるシミュレーションを使った開発も進んでいるが、最終的には現物のパワートレインや車両の試作は避けられない。試作を専門に請け負う企業も存在するが、そうした企業も売り上げ減少により、試作以外の少量生産などに業務を拡大し始めたところもある。
国内の自動車市場が縮小している昨今、国内向けのクルマを生産するコストが上昇してしまうことも相対的にクルマの価格を押し上げている。今後、クルマの価格はどうなっていくのか、考えたい。
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