人材サービスのマンパワーグループ(東京都港区)は、世界8カ国におけるリーダーと従業員を対象に、キャリア開発における意識のギャップについて調査結果を発表。従業員の自律的な成長意欲が高まる一方で、組織側の支援が追いついていない実態が明らかになった。
従来型の支援だけでは限界が見え始めている。調査結果を示すとともに、同社はリーダーに求められる行動を具体的に示した。
従業員のキャリア形成方法として、最も多いのは「自分の興味や優先事項に基づく選択」(32%)で、「研修や自己主導の学習」(29%)、「チャンスを捉えて活かす」(27%)と続いた。数値からは、従業員が自律的にキャリアを築こうとしている姿勢がうかがえる。
一方、リーダー側の取り組みに目を向けると、従業員のキャリアプラン策定支援を目的に実施した取り組みとしては「定期的なパフォーマンスレビュー」(15%)や「個別のスキル開発プラン策定」(14%)が上位だった。
これらの取り組みは定型的な運用にとどまることが多く、29%のリーダーが「パフォーマンスレビューや個別のスキル開発プラン策定の支援は不十分」と答えている。
意欲的な従業員に対し、組織側の支援は限定的だ。
この背景には、リーダー自身の業務量増大や深刻な人材不足があり、キャリア開発を優先事項として位置付ける難しさが浮き彫りとなっている 。
従業員が成長や自己開発への意欲を高く持っていること自体は、ポジティブな要素だ。しかし、リーダーがキャリア形成に積極的に関与しない場合、組織と従業員の間で目標のズレが生じ、労働力のパフォーマンス低下やスキルギャップの拡大につながりかねない。企業は人材育成と戦略目標を結びつけることが不可欠となる。
調査結果から、マンパワーグループはリーダーが取るべき6つのアクションを提言している。
1.経験を軸にしたキャリアパスを描く: 従来の単一的なキャリアを進むだけでなく、チームや部門を超えた多様な経験による成長機会があることを的確に従業員に示す。
2. スキルを軸とした意思決定と社内異動を可能に:デジタルスキルポートフォリオなどを活用し、従業員の成長やスキルを可視化することで、より的確な判断を下せるようにする。
3.AIへの適応:AIへの好奇心を組織文化の一部として根付かせるなど、AIが日々の業務にどのような意味を持つのかを、従業員が理解できるよう支援する。
4.「キャリアナビゲーター」への役割転換:リーダーの役割を管理者から積極的なキャリアナビゲーターへと転換するために、従業員のキャリアを導く役割を果たす権限を提供する。リーダーを評価する際は、従業員のキャリア成長プランを共に設計し、組織内での円滑なキャリア転換を実現させる能力についても評価・報酬の対象とする必要がある。
5. キャリア開発に試験的アプローチを取り入れる:従業員がさまざまな役割やスキルを試し、個人に合った道を見つけられるような小規模かつ意図的なキャリアの試験的取り組みを実施する。
6. スキル成長と実務の結合:プロジェクトとスキル開発を直結させ、学習によって得たスキルを称賛する文化を構築する。
調査はイギリス、フランス、ブラジル、メキシコ、アメリカ、カナダ、シンガポール、オーストラリアの8カ国における1029人のリーダーおよび2402人の従業員を対象に実施した。
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