注目すべきは、サイゼリヤ自身が値上げを行っていないにもかかわらず、客単価が上昇している点である。同社の国内既存店の客単価は、年間を通して前年同月から1〜2%増加している。これは価格改定による「価格効果」ではなく、注文内容の変化による「ミックス効果」である可能性が高い。
行動経済学では、支出の目的ごとに予算を分けて考える「心理的会計」という概念が知られている。
例えば、ランチに1000円の予算を想定する消費者が、他店で1000円のセットメニューを注文すれば支出はそこで完結する。一方、サイゼリヤでパスタを400円で注文した場合、頭の中には600円の「余剰予算」が生まれる。
通常、この余剰分はコンビニスイーツやカフェなど、別の場所で消費されがちだ。しかし、サイゼリヤのコーンスープやドリンクバー、イタリアンプリンといったサイドメニューは、コンビニ商品と比べても割安感が強い。そのため、追加消費を店内で完結させやすい。
結果として、消費者は値上げの「痛み」を感じることなく品数を増やし、サイゼリヤは自然に客単価を引き上げられる。この手法はブランドロイヤルティーを損なうリスクが極めて低く、持続可能性の面で他社との差を広げている。
サイゼリヤと同様に株価が大きく上昇しているハイデイ日高(日高屋)も、低価格を武器に「客数」を伸ばす戦略で共通している。2026年2月中間期決算では、売上高が前年同期比114.4%、営業利益は同131.8%と高い成長を示した。
駅前立地による高回転モデルに加え、DXによる省人化や「ちょい飲み」需要の取り込みで、客単価を補完している点が特徴だ。
一方、対照的なのが日本マクドナルドである。同社はインフレ対応として断続的な値上げを行い、一時的に利益を確保した。しかし、2025年12月期の業績予想では売上高の伸びが2.9%にとどまり、営業利益の増益率も6.9%と鈍化している。サイゼリヤの22.5%増益見通しとは大きな差がある。
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