物価高において、焼肉はコスト高に弱い。その現実が、焼肉業界を2つに分けている。特別感を守る方向か、日常食として焼肉を食べる機会を増やす方向か、である。
そして、日常食として焼肉が自然に成立する場所が、ショッピングモールのフードコートだった。席は共有されておりコストが抑えられ、その分、低コストで出店できる。それだけでなく、好みが分かれがちな現代の消費行動とも相性がよく、フードコートの中で「匂い」という広告効果もある。牛角が「日常の気軽な焼肉」を掲げ、焼肉食堂の出店を加速しているのは、この構造の上で見れば合理的だ。
もちろん、不安な点がないわけではない。
フードコートへの進出が進んでいる点は述べた通りだが、フードコートを多く有するショッピングモールは2018年を境に減少傾向にあり、各地を見渡すと、いわゆる「廃墟モール」と呼ばれる施設も増えてきた(関連記事)。
フードコートについても「ガラガラ」の状態で、空きテナントが目立つところも増えてきた。いくら焼肉食堂とフードコートの相性が良くても、元となるフードコート自体の先行きが不透明な面もある。
今後は、牛角焼肉食堂を見かける機会も増えるだろう。それは、日常の光景として定着していくのか。店舗数が100店舗に到達する2026年は、その成否が占われる時期だともいえるだろう。
都市ジャーナリスト・チェーンストア研究家。チェーンストアやテーマパーク、都市再開発などの「現在の都市」をテーマとした記事・取材などを精力的に行う。「いま」からのアプローチだけでなく、「むかし」も踏まえた都市の考察・批評に定評がある。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』他。現在、東洋経済オンラインや現代ビジネスなど、さまざまなメディア・雑誌にて記事・取材を手掛ける。講演やメディア露出も多く、メディア出演に「めざまし8」(フジテレビ)や「Abema Prime」(Abema TV)、「STEP ONE」(J-WAVE)がある。また、文芸評論家の三宅香帆とのポッドキャスト「こんな本、どうですか?」はMBSラジオポッドキャストにて配信されている。
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