「1人でホールケーキを食べる」という前提は、岳野氏の思いつきで生まれたものではない。その背景には、同氏の約7年間にわたる海外での生活がある。英国やタイ・バンコクのケーキ店には当たり前のように1人用サイズのホールケーキがあり、なぜこれが日本にないのかと以前から感じていたという。
また岳野氏は、18年にわたり東京・銀座にある割烹の女将として現場に立ち、さらにその後5年間、歌舞伎町のホストクラブの広報として働いてきた。そこでの経験もショートケーキカンパニーの誕生に大きな影響を与えている。
「仕事終わりの疲れを甘いもので癒(いや)したい人は多い。私自身もそうです。でも、夜にちゃんとしたケーキが食べられる場所は意外と少ない。歌舞伎町にはスイーツ店が特に少なく、コンビニしか選択肢がなかったんですよ。なければ自分で作ろうと思いました」
自身が求めるものを作る、飲食店の原点に立ち返った形だ。歌舞伎町にこだわりながら物件を探しつつ、一流店で経験を積んだ友人のパティシエとともに約2年かけてさまざまなケーキの開発を進めていった。
ようやく見つけた物件はわずか5坪。厨房は家庭用オーブンしか置けないほど狭かった。「この規模で多様なケーキを作るのは現実的ではない」と考え、以前から温めていた1人用ホールケーキという構想を形にすることにした。
では、なぜショートケーキだったのか。「モンブランやチーズケーキは有名店がたくさんあります。しかし、ショートケーキはスタンダード過ぎるからか、意外と他にないんですよね。私の中でのショートケーキの定義はスポンジと生クリームを使っていること。そう考えると、逆に自由度は高いのではと思いました」と、市場の空白に着目した。
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