AI時代に人間らしい働き方を再設計する「ジョブ・クラフティング」のすすめ
【開催期間】2026年1月27日(火)〜2月25日(水)
【視聴】無料
【視聴方法】こちらより事前登録
【概要】仕事の「やらされ感」を「やりがい」に変えるアプローチとして「ジョブ・クラフティング」が注目されています。AIが定型業務を代替する今日、人間は仕事の「意味」を再定義する力が問われています。高モチベーションな業務への集中にはAI活用による効率化も必須条件です。本講演では、職場のレジリエンスを専門とする研究者が、AI時代に従業員の意識と行動を変える実践論を解説します。
フランス・テレコム(現オランジュ)事件──。これは2008〜2009年の1年8カ月の間に、同じ会社の従業員が24人も自殺した痛ましい事件です。フランス・テレコムはもともと国営の独占企業で、1990年代後半から民営化を進めました。2002年にフランス国家が手持ち株の一部を売却したことに伴い、一般私企業となり、通信市場の競争下に置かれるように。その後、経営状況が悪化したことで急激なリストラ策を実行し、現場はギリギリの人数で、過剰なプレッシャーと労働を強いられました。
当時の報道によれば、被害者の大半が職場で自殺しました。23人目の被害者となった社員は、自殺直前に父親にメールを送信。「今夜オフィスで命を断つつもり。もちろん上司には言ってない」「部署の再編成が許せない。新たな上司のもとで働くくらいなら死んだほうがマシ」と記されていたそうです。この悲痛な叫びは、組織による執拗(しつよう)なリストラや管理がいかに人を追い詰めるかを物語っています。
この悲劇を経て、フランス社会では「仕事が個人の精神や命を破壊してはならない」という強烈な危機感が共有されました。それが後に、世界に先駆けた「つながらない権利」の法制化へとつながったのです。
この法律の最大の特徴は「つながらないことは、労働者のわがままではなく、企業の義務である」と定義した点です。具体的には
といった基準を、労使で協議・合意し、就業規則などに含める義務を企業に課しました。「休みの日もスマホで常に監視・連絡される状態」は、かつての事件と同じく、労働者を精神的に破壊する「現代版のハラスメント」になり得ると危惧されたからこそ、法制化したのです。
今回この衝撃的な事件を取り上げた理由が、お分かりいただけますね。日本でも、やっと「つながらない権利」が、2026年の労働基準法改正の焦点の一つになりそうです。
労基法改正に関する具体的な論点を整理した「労働基準関係法制研究会報告書」によると、労働時間に関する検討事項として
などが挙げられています。
そのうち「つながらない権利」については、「本来、労働契約上、労働時間ではない時間に、使用者が労働者の生活に介入する権利はない」と指摘。一方で、突発的な状況への対応や、顧客からの要求などによって、勤務時間外に対応を余儀なくされ、私生活と業務との切り分けが曖昧(あいまい)になっている現実があるとして、連絡を拒否できる範囲や具体的な運用ルールを明文化することの重要性が書かれています。
時間外の連絡が発生する背景には、単なる上司と部下の関係だけでなく、顧客との取引関係など複雑な要因が絡んでいることも少なくありません。また、連絡内容も「緊急の出勤を要するもの」から「電話での相談」、さらには「単なるメールの受信」まで、深刻度は多岐にわたります。このような事情を鑑み、労使で誠実に議論し、社内ルールを築き上げるためのガイドライン策定などを、国が進めていく方針だそうです。
「またいつものガイドラインか……」という冷ややかな見方もあるかもしれません。しかし、これが労基法という国の根幹に明記されれば、デジタルの発達によってなし崩し的に「24時間営業」や「ワンオペ」を強いられてきた日本の労働市場に、決定的な風穴を開けることになるはずです。
それは同時に、社員の命と健康を尊ぶ「全ての社員が生き生きと働く職場を目指す企業」と、そうでない企業が選別されることでもあります。日本企業が世界水準になれるかどうかがかかっているともいえるでしょう。
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