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“働き盛り”が余っている? 6割の企業が陥る「人材配置の無駄」、抜け出すための第一歩は?

» 2026年01月30日 12時00分 公開
[菊地央里子ITmedia]

 同じ企業内で人材が足りない部署と余っている部署が存在するという矛盾が起きている。総合マネジメントコンサルティングファームのアビームコンサルティング(東京都中央区)が実施した調査によると、6割の企業で人材不足と人余りが同時に発生。中でも、30代で7割、40代でも半数以上と、働き盛り世代で人材が十分に活用されていないことが分かった。

jj 人材不足と人材過剰の実態(アビームコンサルティングのプレスリリースより引用、以下同)
jj 人材不足と人材過剰の年代別発生状況

 人手不足が深刻化する中、なぜ人材配置のミスマッチが発生してしまうのか。背景には日本企業特有の要因があった。

人材配置のミスマッチが起きる2つの要因

 アビームコンサルティングの久保田勇輝氏(執行役員・プリンシパル 人的資本経営戦略ユニット長)によると、人材配置のミスマッチが発生する背景には、大きく分けて2つの要因があるという。「人材の流動性の低さ」と「ジョブ型への移行過渡期にあること」だ。

jj アビームコンサルティングの久保田勇輝氏(同社提供)

 「欧米では事業モデルに合わせて『ポスト』(仕事)が決まるが、日本企業では『人』に合わせて仕事が決まるケースが多く、『その仕事自体が、本来は不要=過剰』という状態が以前からあった。日本企業特有の雇用慣行による人材の流動性の低さも相まって、これまで人材配置のミスマッチが表面化しにくい状態にあった。しかし近年、ジョブ型への移行に伴い人材の可視化を進めたことで、この人材配置のミスマッチがあぶり出された」

 人材配置のミスマッチを解消するために、企業は何から始めるべきなのか。久保田氏は第一に、事業部門や経営層が「将来獲得すべきケイパビリティ」(組織能力)を定義することを挙げる。例えば、経営方針が「製品売り」から「ソリューション売り」に変わるなら、営業職に必要な能力も変わる。従来通りの「100人の営業がいれば足りる」という量的判断ではなく、「今の経営方針に合うスキルを持った営業職は0人だ」と質的に再定義する必要があるのだ。

 そのケイパビリティを基に人材マネジメントを再構築する必要があるが、久保田氏は「人事部主導になりすぎないことも大切だ」と話す。「人事が『DX人材を1000人とります』と号令をかけても、現場のニーズとズレていれば失敗する。事業部側が『この戦略を達成するために、こういう人材が必要だ』と主体的に語り、人事がその目標を達成するためにサポートするという役割分担が、人材配置のミスマッチの解消に成功している企業の共通点だ」

 こうした仕組みを作り、運用を進めるにはコストもかかる。経営層にこうした仕組みへの投資効果(ROI)を説明する材料として、久保田氏は「人件費のアロケーション(配分)」を挙げる。

 活用しきれていない人材に投じられている人件費は、大企業では数十億円単位になることもあるという。この負の人件費を、適切な人材配置を通じて「価値を生む力」へと転化させる。その創出額をリターンとして定義すれば、投資の妥当性は証明できる。

 人手不足が叫ばれる中、人材配置のミスマッチを放置し続けることは経営リスクにつながりかねない。久保田氏は「経営層・事業部門・人事部門が一体となり、計画的に人材を配置・育成する戦略的な人材マネジメントへの転換が求められている」と強調した。

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