当時の居酒屋は、コロナ禍の影響で全体的に大不振だった。しかし、テルマエのように、席に設置してある蛇口やコックからお酒が提供され、時間内は飲み放題という居酒屋は例外的ににぎわっていた。特にZ世代の若者に人気が高く、一人飲みをする人も多かった。
リモートワークにより通勤から解放された人が、蛇口酒居酒屋で昼飲みし、昼間からべろべろになって千鳥足で店から出てくる姿もよく目撃された。
テルマエは、このような蛇口酒居酒屋の進化系とも言える業態だ。後発ではあるが単なる他社の模倣は行わず、飲食業界の常識にとらわれない「ここでしかできない体験」や、時代に合った安価な商品を提供している。
従来の蛇口酒居酒屋は、各テーブルに蛇口が設置されており、1種類の酒だけが飲み放題になるサービスだった。しかしテルマエの場合は、ドリンクバー方式で1カ所に10種類以上の蛇口を集中させ、蛇口によって異なる酒を提供している。銭湯の洗い場を模したタイルの壁に蛇口がずらりと並ぶ光景は圧巻で、ワクワク感がある。来店客は氷を入れた風呂桶に酒を注ぎ、席に戻って、ひしゃくでコップに移して飲む。
ソフトドリンクのドリンクバーも用意し、ドリンクを組み合わせたオリジナルのカクテルが、100万通り以上、作れるという。このようにお酒をカスタマイズできる楽しみも、テルマエが支持される理由だ。
この蛇口を集中させたデザインの意図を、高橋社長は「知らない人同士が親しくなれる、コミュニケーションが取れる場にしたかった」と説明する。実際、蛇口の前で初対面の人同士が会話し、気付けば一緒に飲んでいるケースもあるという。
また、テルマエではその店舗でしか飲み放題にならないご当地のお酒を1種類用意している。例えば、2025年12月にオープンした埼玉県川越市の本川越駅クレアモール泉では、川越の名物であるサツマイモを使用した芋焼酎を提供している。
飲み放題のプランは、1時間438円、768円、1098円と3種類あり、値段が上がると飲める種類が増える。90分や2時間で設定された料金もあり、「ちょっと1杯」から「ガッツリ飲み」まで、幅広く対応しているのが特徴だ。
フードも安い。1個77円の「テルマエ串(鶏皮串)」と「ちび小籠包」は、駄菓子のような価格だ。物価高が叫ばれる現在でも、注文内容によっては「センベロ」(約1000円でベロベロになるまで酔えること)もできてしまう。
「テルマエ串」は、カリカリに揚げた鶏皮に特製の甘辛いタレがしっかりと絡む商品で、酒と合うようにしている。20本以上注文すると風呂桶で提供されるため、銭湯気分で盛り上がることもできる。また、3人前のデカ盛りポテトフライや、さつまいもチップスなども風呂桶で提供している。
その他にも、地獄温泉をイメージした麻婆豆腐や締めの源泉茶漬け、風呂上がりに食べたくなるような牛乳瓶プリンなど、銭湯らしいメニューを取りそろえている。
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鳥貴族が新時代の「居酒屋王」に!? 苦戦するライバルと差がついた決定的な理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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