製品企画をキャリアの起点に、大塚製薬、千趣会、JIMOSなどで約30年にわたり、EC/通販事業の立ち上げ、事業構築、製品マーケティング戦略全般に従事。
広告・CRM・商品設計・事業P/Lを横断的に捉えた、「事業として成立させるためのダイレクトマーケティング設計」を専門とする。
現在は、D2C・通販事業における事業立ち上げや、新規獲得からリピート・ロイヤル化までを見据えた戦略設計支援を行うほか、生成AI・オートメーションを活用したマーケティング実装、業務設計支援にも取り組む。
実務に根ざした再現性のある知見を強みとし、執筆・講演・企業支援を行っている。
最近、「新規獲得広告の効率が落ちてきた」という話をよく耳にします。
EC広告やWeb広告の現場では、「代理店に任せている」、さらに最近では「AIに最適化させている」という言葉も、ごく当たり前に使われています。私自身も、そうした体制の企業に所属していました。
もちろん、外部パートナーに委ねること自体に問題はありません。しかし、構造として、広告が“何のために存在しているのか”が曖昧(あいまい)になりやすいという懸念があります。
広告運用の現場で多いのは、次のような短期の評価軸が強くなりすぎるケースです。
──このスタンスが強まるほど、広告は次第に「売り手が言いたいことを、効率的に広くまきちらす装置」になっていきます。
商品名・カテゴリ名・イベントワードを掛け合わせただけの“無難なコピー”が量産される。そうして、ターゲット以外の大多数にとっては「関係のないノイズ」になってしまう。この状態が続くことで、広告プラットフォーム側からも「価値の薄い情報」と認識されやすくなり、結果的に広告単価が上がり、効率が落ちていく──。広告効果が頭打ちになるのは、ある意味当然の帰結です。
広告の成果が落ちているのではなく、“広告の作り方”が時代に合わなくなっているのではないでしょうか?
代理店運用の現場には、構造的な制約があります。特に一定規模以上の代理店では、
──といった状況が珍しくありません。
その結果、「この商品にとって本当に強い価値は何か」「どの文脈で語られるとユーザーにとって意味を持つのか」といった、深い商品理解に基づく設計が後回しになってしまう、という状況に陥りがちです。
もちろん、商品理解を徹底し、LPから広告表現まで一貫して設計してくれる素晴らしい代理店もいくつも存在します。これは善しあしではなく、“そうなりやすい構造がある”という話です。
だからこそ、クライアント側としては一度、自社の広告を見て「この広告は自分たちが言いたいことを言っているだけではないか?」「それとも、顧客がまさに探していた情報になっているだろうか?」と、問い直してみる必要があります。
従来型の広告は、以下のような売り手目線・エゴベースで設計されがちです。それ自体は間違いではありませんが、それだけでは顧客の文脈に届きません。
成果を出し続ける広告は、発想が逆です。以下のようなニーズを起点に情報を再構成し、「聞きたい形に整えた情報」を、必要な人にだけ届けていきます。広告とは、価値ある情報を適切な順序で届けるための仕組みだと捉え直す必要があります。
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