殴ったり、蹴ったりしても、状況によって判断が異なる場合とは、どのような場合なのか。例えば、高齢の顧客が「同様の質問を執拗に繰り返すこと」はあるかもしれません。あるいは、もともと声が大きくて、意図せずして威圧感を与えてしまう可能性もゼロではないでしょう。
カスハラは最悪の場合、「人」の命をも奪う、極めて危険な行為です。
一方で、カスハラは全ての人が、加害者になるリスクがあります。世の中の大半の人たちは、できれば苦情など言いたくないし、誰も傷つけたくないと思っているはずなのに、クレーム(苦情)が、カスハラになりかねない。
商品・サービスの改善や正当な補償を求めているだけなのに、店員の対応が遅れたり、説明が不十分だったりすると、客がヒートアップして声が大きくなったり、感情が高ぶったりと、相手を困らせるカスハラになってしまうこともあります。また、同じ言葉でも、受け取るスタッフの経験値やメンタルの状態によって、「精神的な攻撃」となってしまうことも。
だからこそ、「個別の事案の状況等によって判断が異なる場合もあり得る」という文言が必要になってしまうのでしょう。それは同時に「要求の内容に妥当性があっても、手段・態様が不適切であればカスハラになり得るのですよ」という「私」たちへの警告でもあります。
つまり、カスハラをなくすには、会社が「盾」になる仕組みづくりを徹底するだけではなく、社会全体に「これがカスハラ! これをやったらダメ!」といった啓蒙活動を同時に徹底することが不可欠です。法律はあくまで「最後の武器」や「ルールブック」であって、それ以前に「何がアウトか」という共通認識(マナーやモラル)が社会全体に浸透しないと、現場の空気はなかなか変わりません。
結局、法律で「罰せられるからやめよう」という恐怖心よりも、「これは恥ずかしい行為だ」「相手も人間だ」というリテラシーが育つことの方が、現場のストレス軽減には直結するのです。
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