それにしても、なぜヤマハ発動機はこのようなプロダクトを開発したのか。背景に、マリンレジャーのハードルの高さがある。免許、エンジン、装備の準備など。そうした“構え”が、特に若い世代を遠ざけてきたと指摘されている。
また、欧州では環境規制の強化によって、ガソリンエンジンが使えない水域が増えつつある。スピードや物理的な距離を競うのではなく、近くの水辺でゆっくり過ごせるモノはつくれないか。開発メンバーは、そのように考えたものの、課題も見えてきた。
台船(だいせん)という言葉を聞いたことがあるだろうか。エンジンを持たない「平たい船」のことで、作業や運搬などのために浮かぶ作業台として使われていることが多い。レジャーでも使われていて、平らなデッキの上で釣りをしたり、水上のイベントを実施したり、バーベーキューを楽しんだり。いわば“水上テラス”のように使われているが、問題もある。コストだ。
大型の台船は、運搬や設置に手間がかかるので、気軽に扱えるモノではない。「もっと小回りが利いて、必要に応じて広げたり、縮めたりできる台船をつくれないか」。開発リーダーの水谷真さんはこのように考え、Sixフロートの開発に着手した。
これまでの台船を見ると、多くが四角形である。しかし、Sixフロートは六角形だ。なぜこの形にしたのかというと、理由は2つある。
1つめは、面積効率だ。船舶扱いにならないサイズに抑えるため、最大幅は3メートル弱にしなければいけない。その制約の中で、できるだけ広い天板を確保するには、四角形よりも六角形のほうが適している。最大幅を変えずに、より広い“寝転べる面積”を取れるからだ。
もう1つは、連結のしやすさだ。六角形はハチの巣のように、できるだけ隙間なく並べることができ、複数台を連結すれば水上に広い面をつくることも可能である。もちろん、四角形でも並べられるが、六角形のほうが外周が滑らかで(角が少なく、全体の輪郭が丸みに近い)、波の力を分散しやすい。
「残クレアルファード」はこうして広まった マイルドヤンキーとトヨタの“最適解”
「JALとANA」どこで違いが生まれたのか? コロナ禍を乗り越えた空の現在地Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング