銀行・政府などの支援によって“延命”している状態の「ゾンビ企業」が減少している。帝国データバンクの調査によると、2024年度のゾンビ企業数は推計約21万社で、2年連続で減少した。コロナ後の経済正常化や、倒産・休廃業にともなう新陳代謝が減少の一因とみられる。
調査では国際決済銀行(BIS)が定める「3年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が1未満、かつ設立10年以上」というゾンビ企業の定義に基づき、データを算出した。ICRとは「借金の利子を支払う余力がどれくらいあるか」を示す数値で、これが1未満の企業は、本業のもうけだけでは利払いすらできない状態にあるといえる。
帝国データバンクが保有する企業財務データベース「COSMOS1」(2025年11月末時点)において、2024年度の財務データが判明している「3年連続でICRが判明、かつ設立10年以上」の企業は11万9027社だった。
このうち「ゾンビ企業」の定義に当てはまる企業は1万6966社で、この2つの数値を基に計算した全国のゾンビ企業率は14.3%となった。
ゾンビ企業率を業種別に見ると、消費者の節約志向による売り上げ不振が続く飲食料品小売やアパレルなどを含む「小売」(19.6%)が最も高かった。次いで、燃料コストの高止まりや2024年問題など、経営環境が厳しい一般貨物自動車運送業を中心とする「運輸・通信」(18.9%)が続いた。一方、オフィスビルや商業施設、土地など市場価値が安定している「不動産」(6.2%)が最も低かった。
地域別では「東北」(20.4%)が唯一2割を超え、都道府県別でも1位「福島県」(24.5%)、2位「宮城県」(21.7%)、3位「岩手県」(21.2%)と上位を占めた。帝国データバンクは「東日本大震災後の各種金融支援策の影響から、震災から間もなく15年を迎える今も借り入れ負担が重い企業が多い」と分析する。
2024年度のゾンビ企業約21万社について、収益力・過剰債務・資本力の3項目それぞれの課題を分析した。収益力について見ると、経常赤字企業は推計13万4000社(全体の63.7%)に上った。
過剰債務状況は、有利子負債が月商の8.5倍(倒産企業の平均水準)以上の企業が推計8万社(同38.3%)。資本力については、債務超過企業が推計8万1000社(同38.4%)だった。
さらに、3項目全てに該当する企業を推計すると、約3万6000社(17.2%)となった。ゾンビ企業の6社に1社は経営破綻の危機に瀕する企業(倒産予備軍)であり、2025年の年間企業倒産件数(1万261件)の約3.5倍となった。
帝国データバンクは「2年連続で減少傾向にあったゾンビ企業だが、金利上昇の本格化によって利払い負担が増し、収益を圧迫することで、再び増加に転じる可能性もある。また、円安環境や賃上げ動向などでコスト増がさらに進み、価格転嫁できない企業の脱落も考えられる。これまで『潜在化』していた倒産予備軍が一気に表面化する可能性は、日本経済の成長における大きな懸念材料といえる」とコメントした。
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