本稿は、3月19日にスマレジが開催した「お店の未来カンファレンス2026」を取材したもの。
カナダ・バンクーバー発のアウトドアブランド「ARC'TERYX」(アークテリクス)を日本で展開するアメアスポーツジャパン(東京都新宿区)は、ただ製品を売るだけにとどまらない、顧客体験の提供に取り組んでいる。
同社は2月から一部製品の「10年無償保証」を開始した。製品寿命を延長するこの取り組みは、短期的な売り上げを“捨てる”ようにも見える。ブランドヘッドの高木賢さんは「実際に『売り上げが下がるのでは?』と言われたことが何度もあります」と振り返る。
この背景には「製品を長く使ってもらう」という思想がある。同社が描くのは、単なる「購入」で終わらないブランド体験だ。
2025年10月、東京・池袋にオープンした旗艦店「アークテリクス 池袋東武ブランドストア」も、製品を長く使ってもらうために“販売以外”の機能を持たせている。
また、アークテリクスには直営店での値下げを一切しないという価格へのこだわりもある。一見すると非効率にも見える戦略を支えているブランドの思想に迫る。
池袋のブランドストアには、修理やメンテナンスを担う「サービスセンター」と大規模な「コミュニティスペース」を併設している。
サービスセンターでは、ウェアなどの再撥水加工や修理サービスを提供し、専門スタッフがケア方法を直接レクチャーする。コミュニティスペースでは、アスリートを招いたイベントを起点に、顧客のアウトドアへの興味喚起につなげる取り組みも進めている。
こうした施策の根底にあるのは「製品を長く使ってもらう」という思想だ。
アークテリクスは2月、ブランドストア、公式オンラインストアで購入した一部製品の無償保証期間を10年に延長した。製品寿命の延長は、買い替え需要の減少、すなわち短期的な売り上げの減少につながると考えられがちだ。
「実際に『売り上げが下がるのでは?』と言われたことが何度もあります」
しかし高木さんは、修理しながら長く使っていただくことでブランドのファンになってもらい、他の製品が必要になったときに真っ先に想起される存在を目指すと話す。重要なのは短期的な販売回数ではなく、顧客との長期的な関係構築だ。
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