本記事の内容は、RX Japan(東京都中央区)が4月8〜10日に開催した「Japan DX Week」内で実施されたセミナー「三越伊勢丹が挑む『個客業』 〜店舗×EC×AIで実現する次世代リテールDX〜」の内容を要約したもの。
三越伊勢丹がECを強化している。LTV(ライフタイムバリュー、顧客生涯価値)が高い顧客を増やすことが狙いで、強化施策の一つにパーソナライズAI機能がある。
多くのECサイトでは、顧客の過去の買い物履歴から、関連商品をおすすめする設計を採用している。しかし、提案されるおすすめ情報は「トップスを買った人に、また同じようなデザインのトップスをすすめる」といった範囲にとどまり、個人の好みや生活パターンに合わせた情報発信は難しいのが現状だ。
同社が重視するのは、単なるおすすめにとどまらない、百貨店の強みを生かしたパーソナライズ機能の提供だ。百貨店の強みの一つに「外商」がある。年間の購入金額が多い顧客に対し、個別にフォローするサービスで、同社はEC上の買い物でも、この外商のような接客体験を実現しようとしている。
三越伊勢丹は、店舗に人を集めて商品を販売する「館業」(やかたぎょう)から、一人一人の顧客と深くつながる「個客業」への転換を経営戦略として掲げている。その一つがECに搭載したパーソナライズAI機能だ。
「ランドセルを買った人にランドセルをすすめる」といったこれまでの単純なアルゴリズムを打破。「ワインが好き」「旅行が好き」「ペットを飼っている」といった個人の趣味嗜好(しこう)を「三越伊勢丹にしかないデータ」として蓄積。AIに学習させ、より質の高い提案の実現を目指す。
同社オンラインストアグループ EC運営部の今村毅氏によると、パーソナライズAI導入後、CTR(クリック率)は1.4倍、カート追加率は1.4倍、CVR(成約率)は1.3倍となった。
今村氏は「AIは掛け算の技術」だと話す。「AI単体ではなく、自社の強みとAIの掛け算で、独自の価値を生む」(今村氏)。これまで培ってきた自社の強みをAIで強化するという考え方が、三越伊勢丹が目指す新しい経営戦略を支えているようだ。
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