ナフサ不足、供給網の混乱は「極めて日本的」 旭化成社長が語る見解【要点まとめ】

» 2026年04月15日 20時44分 公開
[ITmedia]

 中東情勢が緊迫する中で、エチレンやプロピレンといった石油化学基礎製品を製造するための原料となるナフサの供給に対する懸念が高まっている。総合化学メーカー旭化成の工藤幸四郎社長は4月15日、中期経営計画の進捗状況を報告する経営説明会において、ナフサの調達について「6月中旬あるいは6月末くらいまでの使用分の確保のめどが立った」と話した。

 旭化成は、原料製造に当たる川上のナフサクラッカー(ナフサを熱分解して石油化学基礎製品を製造する装置)事業から、最終消費者に近い川下の住宅事業まで、幅広く展開している。中東情勢とナフサ調達の今後について、工藤社長が見解を語った。

kasei 旭化成の工藤幸四郎社長(編集部撮影)

ナフサクラッカー稼働、歯を食いしばって続ける

「輸入先の多角化」も検討 今後は「数」だけでなく「安さ」も重視

工藤社長: 2月末に米国・イスラエルによるイランへの攻撃が開始されて以降、当社は「川中・川下の皆さまに決してご迷惑をかけない」という使命感でナフサの調達に邁進(まいしん)してきた。ナフサの調達は相当苦労しているが、調達先を多角化することで今後も調達は継続できるのではないかと考えている。

 政府とも情報交換をしており、米国や中南米などから調達したケースもある。これまでは「あれば値段は関係なく買う」と数の確保を重視していたが、7月以降は比較しながら安く買う視点も持ちたい。

ナフサクラッカーは低稼働なのか

工藤社長: ナフサクラッカーの稼働率は、中東問題が起こる以前から最低の水準に近かった。ぎりぎりの状態で稼働していたという状況は業界内では常識とされていたが、今回の中東問題をきっかけに日本全体に知れ渡った。5月以降も楽観はできないが、われわれは歯を食いしばって生産を継続する。

必要な場合は値上げも検討

工藤社長: 調達自体は継続できると考えているが、残念ながらナフサの価格は倍近く高騰している。われわれのお客さまにも「サプライチェーンがどのようになっているか」をきめ細かく説明させていただきながら、必要な場合は値上げということもお願いしている状況だ。

サプライチェーンの混乱「極めて日本的」

工藤社長: 目詰まり(供給不足)の起こり方が、極めて日本的であるという風に感じている。7月以降はまだ分からない、あるいは少し不安があるというのがサプライチェーンの中で伝わることで「今まで通り販売すると、いつか足りなくなる可能性があるから少し販売を抑えよう」という意識が広がった結果、目詰まりが起こっていると理解している。

 川上にいるわれわれにとって「今の状況がどうなるか」を丁寧に説明することが重要だと考えている。旭化成グループも営業担当や販売員に向けてそういう指導をしており、目詰まりが起こらないような営業活動に取り組んでいきたい。

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