7月1日、企業に義務付けられている障害者の法定雇用率が2.5%から2.7%へ引き上げられました。障害者雇用義務の対象となる企業も、常時雇用している従業員が40人以上から37.5人以上へと拡大されました。
障害者を雇用する企業の割合は上昇していますが、大企業と中小企業では差があります。また障害者の雇用率を達成するために、本人の希望と異なる環境や条件で働かせる「障害者雇用代行ビジネス」も問題となっています。
AI活用などで労働環境が変わりつつある昨今、企業は障害者雇用にどう取り組めばいいのでしょうか。社会保険労務士が解説します。
従業員が一定数以上の企業は、全体の従業員に占める障害者の割合を法定雇用率以上にする義務があります(障害者雇用促進法43条第1項)。
7月1日から、従業員数100人超の企業が障害者の法定雇用率を達成できない場合、不足人数1人につき、月額5万円の「障害者雇用納付金」の支払いが義務付けられました。改善が見られない場合は、ハローワークによる行政指導や、企業名公表の対象となるなどの罰則も設けられています。
厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」によれば、企業が雇用している障害者の数は70万4610.0人でした。前年より2万7148.5人増加し、22年連続で過去最高を更新しました。
とはいえ、実雇用率で見ると状況は異なります。従業員数100人未満の企業の実雇用率は1.94%(前年1.96%)、同100〜300人未満で2.18%(同2.19%)、同300〜500人未満で2.27%(同2.29%)、同500〜1000人未満で2.41%(同2.48%)、同1000人以上で2.69%(同2.64%)となりました。従業員数1000人以上規模の企業以外では、実雇用率は前年より低下しています。
社会保険労務士である筆者の顧問先は、従業員数が300人以下の中小企業が多いですが、障害者雇用に積極的に取り組んでいるとは言いがたい状況です。法定雇用率を満たしていない企業の方が多い印象があります。
中小企業で障害者の雇用が進まない理由としては、業務内容が属人化するなどマニュアル化が進んでいない点が挙げられます。
また、中小企業は大企業と比べると担当する業務が専門的ではなく、マルチタスクを求められる傾向があります。こうした中で障害者を雇用して戦力化していくためには、手厚い教育やサポート体制が必要です。しかし、こうした体制が整っていない企業も多いです。加えて、バリアフリー対応などハードウェア面での対策も十分でないケースがあります。
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