これから各地域では、価格競争や新規出店競争が繰り広げられ、その様相はさらに激しくなるでしょう。
現在のような物価上昇時代において、価格競争は集客につながり、売り上げにも貢献します。しかし長く続けると粗利を削ることになり、企業体力を奪いかねません。
特に、以前の流通業界でよく見られた、採算を度外視した低価格販売、いわゆる「目玉商品」の投入には注意が必要です。公正取引委員会は、企業努力による低価格は競争の中核であるとした一方、採算を度外視した低価格で顧客を獲得する行為は、独占禁止法上問題となる場合があると説明しています。
売上拡大のためには新規出店が必要ですが、そこで展開される競合対策が単なる安売り競争になれば、勝負に勝つことは難しいでしょう。これからの競合対策で勝つには、安さを出しながら、粗利を残す仕組みを持つことが必要です。
これまでは、人口増、郊外の都市開発、モータリゼーションの進展、郊外型ショッピングセンター開発、EC化、インバウンドなど、成長市場を取りにいく戦いでした。
しかし、今後は違います。既存商圏の中で、「誰から顧客を奪うか」というシェア獲得競争になります。これは「顧客の支持率獲得戦争」と言い換えても良いでしょう。
そのため、PPIHのLOT作戦は、単なる競合対策ではなく、「低価格スーパーに市場を完全に奪われる前に、市場を自ら取りに行く」ための競合対策と言えます。
流通・小売業界は、「出店すれば売れる時代」から「誰の来店動機を奪うかの時代」に入ってきています。これからの流通・小売業界は、新規出店、PB商品、顧客データ、M&Aに個店の独自の取り組みを組み合わせた「競合対策2.0」の時代と言えそうです。
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。直近では著書『図解入門業界研究 最新 アパレル業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本[第5版]』を刊行した。
ITmedia デジタル戦略EXPO 2026 夏では、各分野の第一人者や企業の現場でビジネス変革に取り組むリーダーの声を通じて、経営×IT×現場のコラボレーションで全社変革を進めるヒントをお届けします。
AIを活用したデジタル戦略が必須となる中、ダイハツ工業や旭化成、NOT A HOTELなどビジネス変革に取り組む企業の「当事者の声」を通じて、現場のリアルな課題解決方法を探ります。視聴登録はこちらから。
PPIH、「スーパーみたいで、スーパーじゃない」新業態発表 ドンキの兄弟分として展開、狙いは?
ドンキの買収で復活できるか? 関東スーパーの雄「オリンピック」が凋落してしまった根本原因Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング