ホンダ、四半期最高益も「中国半減」「EV補償」に漂う暗雲?──経営陣が明かした攻勢と防戦

» 2026年08月06日 11時40分 公開
[ITmedia]

 非常に力強い決算だった──本田技研工業(以下、ホンダ)が8月5日に開催した、2027年3月期第1四半期の決算説明会で、川口正雄氏(執行役 最高財務責任者)はそう語った。

 2026年4〜6月の営業利益は5307億円(前年同期比117.4%増)となり、第1四半期として過去最高を更新した。インドやブラジルで販売を伸ばした二輪事業が過去最高益を記録したほか、北米でハイブリッド車を中心に販売を伸ばした四輪事業が好業績をけん引した。

 好業績を踏まえ、同社は2027年3月期の通期連結業績予想を修正した。営業利益の見通しは、5月14日の発表から1500億円引き上げ、6500億円へと上方修正している。

 この上方修正は主に、為替レートの前提を見直したことによるものだ。通期の為替前提を1ドル145円から155円に変更したことで、1700億円のプラス影響を見込む。一方で、中東情勢の緊迫化など地政学的リスクに伴う原材料価格や販売台数への影響は不透明感が強く、リスクを見極める必要があるとして、販売台数などの実質的な計画は前回の見通しを据え置いた。

 同日の決算説明会では、同社の経営陣が「半導体コストへの懸念」「中国市場でのEVシフト」「EV補償交渉の進捗」「令和8年熊本地震の影響」などについて語った。その内容を一問一答形式で紹介する。

honda 左:執行職 経理財務統括部長 高橋純洋氏 右:執行役 最高財務責任者 川口正雄氏(オンライン説明会のキャプチャー)

メモリ半導体の調達リスク 対応策は?

──足元のメモリ半導体の調達リスクや価格高騰の影響は?

川口氏 データセンター需要とのバッティングなどにより、需給バランスは厳しい状況だが、2027年以降には供給側の生産能力向上による緩和が期待できると考えている。

 当社は車載向けのレガシーなメモリの生産に前向きなサプライヤーとの取引を戦略的に拡大し、価格交渉での柔軟な対応や、一部で長期供給契約を結ぶなどの対策をすでに講じている。現時点で調達面でのトラブルや問題は生じていない。

 コスト面に関しては、メモリ価格の高騰影響をあらかじめ見越しており、今回の期首からの業績見通しにはすでに約300億円のコストアップ影響を織り込み済みだ。そのため、今後さらに高騰が続いたとしても、現在の通期見通しの枠組みの中で対応できると考えている。

中国市場における大苦戦 打開策は?

──中国市場で販売低迷が続く背景と対応策は?

川口氏 中国市場は、想定以上のスピードでEVなどの新エネルギー車へとシフトしており、ガソリン車やハイブリッド車を中心に展開するホンダの販売が激減している。現地のエンジン・ハイブリッド車市場自体が、前年同期と比べて約4割縮小しており、当社の4〜6月の販売も8万台強と前年比で半減している。第1四半期における中国での販売台数は約8万台強と前年比で約5割落ち込み、通期目標(48万台)に対して大幅な遅れが生じている。

 当社はかつて150万台弱あった中国の生産能力を、広州にある第1工場稼働停止を決定するなど、約70万台強へとスリム化させてきた。足元のガソリン・ハイブリッド車市場の縮み方が想定よりもドラスチックであるため、今後についても市場を見極めながら対応する。

 現地サプライヤーやパートナーのプラットフォーム活用については、技術開発スピードやコスト競争力の観点から極めて重要であると考えている。既存のエンジン車・ハイブリッド車については、次のフルモデルチェンジに向けてかなり突っ込んだ開発の議論を進めており、競争力のあるモデルを出せる見込みだ。

 EV領域においても、パートナーのプラットフォーム活用を視野に現在交渉を進めている。ただ、これらの成果が実際に市場に出てくるには、あと1年はかかると見ており、ここ数年はいわば「しのぐ時期」だと捉えている。

北米でEV戦略見直し 補償費の計上タイミングは

──EV関連の損失が今回の第1四半期決算で発生しなかったのはなぜか。

高橋純洋氏(執行職 経理財務統括部長) 北米のEV戦略変更に伴う損失については、前期までに1.3兆円を処理した。今期の計画として置いている5000億円(為替反映後5200億円)は、主にサプライヤーへの補償費用だ。

 第1四半期において計上がなかったのは、各サプライヤーとの具体的な補償交渉やコミュニケーションを開始したばかりであり、確定した金額がまだ決算に反映されていないためである。

 多くのサプライヤーと個別に交渉を進めているため、合意に至り費用が確定した段階から順次、四半期ごとに計上していく。「第2四半期決算に集中する」あるいは「下期に偏る」といった性質のものではなく、話がまとまったものから段階的に上乗せしていく見通しだ。

熊本地震でダンパーなどが欠品 生産への影響は

──7月28日に発生した「令和8年熊本地震」による、生産体制などへの影響は?

川口氏 二輪車の主要拠点である熊本製作所は、地震発生当日の夕方から8月7日まで9日間の操業停止を決定(8月5日から一部再開)した。

 四輪生産では、震源地近くに工場があるサプライヤーが被災し、ダンパーなどの部品が欠品している。

 令和8年熊本地震に伴う生産休止による具体的な影響については、現状まだ見通すことができない。ただ、事業を大きく揺るがすような規模にはならないと考えている。

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