国内線の苦戦は今般の航路だけではなく、航空会社全体に共通する。
国交省の資料によると、国内線旅客数は2023年度にコロナ禍前の水準を上回った。しかし国内線の収益は悪化している。主要6社の営業損益は2018年度を100とすると2023年度が7.3、2024年度は−15.7と赤字に転落した。数は増えても質が悪化している状況だ。
国内線の収益はなぜ悪化しているのか。まず物価高や円安による燃料費、整備費用の上昇などが収益を圧迫した。収入面では冒頭で太客と称した「出張・業務」の利用客が回復していない。
ビジネス客は他の客よりも高単価だ。直前に予約する客が多く、時間を優先する場合は、高価格のプランでも選ぶ。また、自腹ではなく会社の金を使えるため、一部大企業の幹部は上位クラスの席を利用することがある。来客のために上位クラスの席を用意する事例も多い。
だが、コロナ禍でリモートワークが普及し、ビジネス利用の客が減少した。旅客数の増加に貢献しているのは単価の低い観光客であり、収益への影響はビジネス利用より限定的だ。リモートワークの浸透で企業は出張費削減の効果を認識したのではないか。
コスト高が続く昨今の状況から判断するに、ビジネス利用の回復は想定しづらい。2024年から地上業務資格で相互承認を始めるなど、JALとANAは近年協業を進めてきた。太客の減少で収益が悪化する中、競い合う2社の関係性は徐々に変化しつつある。
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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