ただ、そこに至るまでが簡単ではない。AIに任せようとすると、多くの企業が壁にぶつかる。麻野氏が挙げるのは次の4つの壁だ。
どれから手を付けるべきか。麻野氏は「圧倒的に1つ目のデータから」と言い切る。営業ほど、データが集約・整理されていない領域はないという。商談の場で得られたデータ──顧客が何に困っていて、どの資料を見せて、どんな反応があったのか。受注に欠かせないノウハウの塊が担当者の頭の中だけにたまり、共有する文化がない。共有を嫌う営業組織すらある。
まず必要なのは、データを収集する仕組みだが、営業担当者に「これからは商談内容を記録してください」とお願いしても、入力そのものが手間で続かない。そこで伸びているのが、商談を録音し、AIが要約してCRMやSFAに書き込むツールだ。これまで担当者が手で入力していた作業をAIが引き受ける。担当者の負担が減り、同時にAIが読める形でデータが蓄積されていく。
データがたまっても、それだけではAIは使えるものにならない。例えば、過去の似た提案書を探させると、AIはテーマの一致する資料を並べてくれる。だがその中には、失注した提案書も混ざっている。営業担当者が参考にしたいのは、受注できたものだ。
必要なのは、「資料」「案件」「結果」といった情報をつなぐことだ。この提案書がどの案件で使われ、受注したのか失注したのか。バラバラに置かれた情報をつなぎ直せば、AIは受注した提案書だけを選んでくれる。
もう一つが、会社の意志を入れることだ。これまでの実績だけでは、AIは過去の延長でしか動けない。営業戦略を与えて初めて、AIは会社のビジョンに沿って動き始める。
ナレッジワークが8月に発表した「セールスAIエージェントOS」は、あらかじめ用意された4つの層でこれらを実現する。過去のデータを営業の文脈でつなぐオントロジー層、会社の営業戦略を入力するストラテジー層、その2つを基にAIエージェントを作って動かすAIエージェント層、そして営業担当者が実際に触れるインタフェース層だ。精度を左右するのは、下の2層にあたる。
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