新時代セールスの教科書

「ChatGPTを配るだけ」のAI活用は95%が失敗――ナレッジワーク麻野CEOが語る、営業生産性を上げる方法とは(2/3 ページ)

» 2026年08月28日 09時00分 公開
[酒井真弓ITmedia]

最初の壁は、AIに渡すデータを整備すること

 ただ、そこに至るまでが簡単ではない。AIに任せようとすると、多くの企業が壁にぶつかる。麻野氏が挙げるのは次の4つの壁だ。

  • AIに渡すデータが準備できていない
  • 営業の業務が、AIに理解しやすい形に整備されていない
  • 自社の営業に合わせてAIを実装できる人がいない
  • 作っても現場の営業が使わない

 どれから手を付けるべきか。麻野氏は「圧倒的に1つ目のデータから」と言い切る。営業ほど、データが集約・整理されていない領域はないという。商談の場で得られたデータ──顧客が何に困っていて、どの資料を見せて、どんな反応があったのか。受注に欠かせないノウハウの塊が担当者の頭の中だけにたまり、共有する文化がない。共有を嫌う営業組織すらある。

 まず必要なのは、データを収集する仕組みだが、営業担当者に「これからは商談内容を記録してください」とお願いしても、入力そのものが手間で続かない。そこで伸びているのが、商談を録音し、AIが要約してCRMやSFAに書き込むツールだ。これまで担当者が手で入力していた作業をAIが引き受ける。担当者の負担が減り、同時にAIが読める形でデータが蓄積されていく。

AIが作る提案書は、なぜ的外れなのか

 データがたまっても、それだけではAIは使えるものにならない。例えば、過去の似た提案書を探させると、AIはテーマの一致する資料を並べてくれる。だがその中には、失注した提案書も混ざっている。営業担当者が参考にしたいのは、受注できたものだ。

 必要なのは、「資料」「案件」「結果」といった情報をつなぐことだ。この提案書がどの案件で使われ、受注したのか失注したのか。バラバラに置かれた情報をつなぎ直せば、AIは受注した提案書だけを選んでくれる。

 もう一つが、会社の意志を入れることだ。これまでの実績だけでは、AIは過去の延長でしか動けない。営業戦略を与えて初めて、AIは会社のビジョンに沿って動き始める。

 ナレッジワークが8月に発表した「セールスAIエージェントOS」は、あらかじめ用意された4つの層でこれらを実現する。過去のデータを営業の文脈でつなぐオントロジー層、会社の営業戦略を入力するストラテジー層、その2つを基にAIエージェントを作って動かすAIエージェント層、そして営業担当者が実際に触れるインタフェース層だ。精度を左右するのは、下の2層にあたる。

「セールスAIエージェントOS」は、個社固有の営業戦略や営業データをAIエージェントが適切に活用することで精度の高いエージェントを提供するための基盤だ(ナレッジワーク提供)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR