「これ、ゴムです」 クリスタルガラスにしか見えないグラス、老舗ゴムメーカーの挑戦(1/4 ページ)

» 2026年08月30日 19時16分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 掌(てのひら)にのせてみる。クリスタルガラスのような外見を鮮やかに裏切る軽さ。エッジの感触がカットの鋭さと精巧さを伝えてくる。いつまでもこうしていたいと感じるのはなぜだろう。

「不思議な縁ですね」

 ゴム部品メーカー「錦城護謨(きんじょうごむ)」(大阪府八尾市)業務統括部企画課の水田竜平係長(46)が7年前を振り返った。

 当時、若い社員の退職が重なった。土木事業の部署にいたが「うちのゴムの技術はすごいのに、若い仲間が、やめてしまうのはもったいない」と感じていた。

photo 「E1」(中央)など「錦城護謨」が開発したシリコーンゴム製のグラス(柿平博文撮影)

 「BtoBで企業向けの製品が多く、関係先以外には技術力や会社そのものも知られていない。自社ブランドの製品が開発できれば」。そんな思いを抱えていたところ、知人からデザイン会社「シーラカンス食堂」(兵庫県小野市)代表のデザイナー、小林新也さんを紹介された。

 すぐに個人的に会って意気投合したが「一緒に仕事ができるまでには正直、何年もかかると思っていました」と打ち明ける。

 ところが同じ時期、太田泰造社長が、デザイナーとの協業で八尾のものづくり企業を世界に広める八尾市の取り組み「YAOYA PROJECT」について情報を受けた。「ものづくりの喜びが社員に伝わっていないのでは」と危機感を抱いていた太田社長が参加を決定。水田さんを含む計4人のチームが結成された。

 「プロジェクトの資料を開いたら、何人かのデザイナーの中に小林さんの名前があったんです。お互いにびっくりしました」

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