本連載は、国際情勢やビジネス動向を深掘り、グローバルな課題とそれが企業に与える影響を分析する。米中関係やテクノロジー業界の変動、地政学的リスクに焦点を当て、複雑な要素を多角的に捉えながら、現代社会の重要な問題を分析。読者にとって成功への洞察を提供していく。
7月、米OpenAIの社内で奇妙なことが起きた。サイバーセキュリティの評価環境「ExploitGym(エクスプロイトジム)」で稼働していた約1200体のAIエージェントが、開発者の想定を超えて連携し始めたのだ。
しかも、そのうち約700体が外部の実在するサービスに集団で不正アクセスを試みた。標的は、世界中のAI開発者が使う共有プラットフォーム「Hugging Face(ハギング・フェイス)」。数十台のサーバでコードが実行され、少なくとも1台では最高権限を取得された。
1200のAIが群れで暴走した――。そう聞くと、つい映画『ターミネーター』や『マトリックス』なんかを思い浮かべてしまう。映画のような時代が近づいているのだろうか。ただ、よく見ていくと、実態は少し違いそうだ。
まず指摘すべきは、報道されている「1200」という数字は、1体のAIが1200の人格に分裂した、という話ではない。もともと別々の課題を解くために起動された、独立した1200のAIエージェント(=自律的にツールを操作するプログラム)だ。設計上は隔離され、互いに干渉できないはずだった。
ところがAIは、社内のパッケージ管理基盤のキャッシュやフォルダ名を「伝言板」として使えることを発見した。7月8日から13日の間に飛び交ったメッセージやファイルは7万件を超える。
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