AI導入時に、全社のマニュアルを一度に読ませる必要はありません。最初に集めるべきものは、店舗で実際に発生している質問です。
「この商品はどこにあるか?」
「この商品の欠品はいつ入荷するか?」
「返品できるか?」
「在庫差異が出たらどうするか?」
「設備が停止したら誰へ連絡するか?」
といった具体的な質問を記録します。
次に、質問の件数と、誤答した場合の影響を整理します。
導入初期には、質問が多く、正誤を確認しやすく、誤答時の危険が比較的小さい業務が適しています。例えば、売り場位置、在庫確認、勤怠申請、設備トラブルの一次対応です。
対象を決めたら、回答の根拠となる正しい文書を1つに絞ります。旧版を除外し、出典、適用条件、例外条件、責任者、更新期限を付けます。その後にAIへ接続します。
生成AI導入で最も時間がかかるのは、AIの設定ではありません。自社の仕事について、何が正しいのかを部門間で決める作業です。
ベテランの知識を集める場合も、作業手順だけでは足りません。「何を見て判断したのか」「通常と違う場合はどうするのか」「どの時点で上司へ相談するのか」まで記録する必要があります。
店舗を賢くするのは、現場で蓄積した判断を、根拠と条件を付けて、他の従業員とAIが再利用できる状態にすることです。
自社のベテランが明日退職しても、その判断理由を、次の従業員へ渡せるでしょうか。店舗AI導入の成否は、その問いへの回答で既に決まり始めています。
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