AIは「電気の発明」級の大変革 東京電力CIOが語る、AIを使いこなすための「人間の在り方」(1/2 ページ)

» 2026年10月16日 06時30分 公開
[米倉志保,ITmedia]

 AIによって業務の効率化が進み、作業時間が短縮された一方、仕事の本質はどう変わったのか。これまで人が担ってきた仕事はなくなったのか、成果や行動量は倍増したのか。AIの進化を実感する今だからこそ、改めて考えたい問いだ。

 Sansanの寺田親弘社長は「AIの進化は目を見張るものがありますが、AIだけで何でもこなせるわけではありません。営業にしても企画にしても、最終的に価値を届けるのは人です。どれだけテクノロジーが進化しても、人間が介在する価値は重要です」と話す。

 AIに任せられる業務と、人にしか担えない役割を見極め、人間の価値を最大限に引き出すためにAIをどう活用するか。その視点が、AIトランスフォーメーション(AX)を進める上で欠かせない。

 東京電力ホールディングスで最高情報責任者(CIO)兼最高情報セキュリティ責任者(CISO)を務める関知道氏に、AI時代の仕事の変化と人間の役割について聞いた。聞き手は、Sansanの寺田社長。

本記事はSansanが開催したユーザーカンファレンス「Sansan Innovation Summit 2026」の講演の一部を記事化したものです。


Sansan 寺田親弘社長、東京電力ホールディングス 常務執行役 最高情報責任者(CIO)兼最高情報セキュリティ責任者(CISO)関知道氏(編集部撮影、以下同)

AIの登場は「電気の発明」くらい大きな変化

――東京電力でのAI活用について、現在どのような取り組みを進めているのでしょうか。

 生成AIによる変革は、社内では「電気の発明」と同じくらい、人類に大きな変化をもたらすものだと伝えています。150年前、薪や炭から電気に変わった。それと同じくらいの変革が、これから起きる、あるいは今起きています。

 だからシステム部門やDX組織だけの問題にせず、自分たち自身の変革として捉えなければいけません。まずは自分ごとにしてほしいと伝えています。

 社内アンケートを取ると「使い方が分からない」「いい結果が出ない」「怖い」「使う必要がない」という声がありました。特に問題なのは「使う必要がない」と言われたことです。

 今の業務プロセスにAIを使う工程がないことが要因ではないかと考えています。そのため、新しいプロセスを作ろうと取り組んでいます。小さなことから効率化・高度化し、最終的には人とAIが共存する世界を社員一人ひとりが作っていくことが重要です。

――AIが現場に根付いたと感じる具体的な事例や瞬間があれば、教えてください。

 東京電力は現場作業が多いので、スマホで工事現場の写真を撮ると危険源を特定し、リスクを見積もって対策を具体化するAIアプリ「安全なう」を導入しています。

AIアプリ「安全なう」を導入

 例えば、固定されていないはしごや、傾斜地に斜めに止められたトラックといった危険源を特定し、それぞれについて危険の重大性と発生可能性を評価します。最終的には、カラーコーンを置くといった具体的な対策まで示してくれます。

 認識し、予測し、生成するというAIの3大機能を活用しています。現場の若手や新入社員にも非常に好評です。

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