山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
ドン・キホーテを展開するPPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)は10月30日、玩具販売大手「トイザらス」の日本事業を取得する。トイザらスは全国で約150店舗を展開しているが、少子化やECの台頭などを背景に業績が悪化し、10月1日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請していた。
PPIHは7月1日にも、首都圏でスーパーマーケット「オリンピック」などを展開するOlympicグループを子会社化したばかりだ。Olympicは3期連続で最終赤字を計上しており、業績が悪化していた。
苦戦するトイザらスとOlympicをどう再生させるのか。過去の事例から、今後の2社の方向性を探っていく。
トイザらスは1948年に米国で創業した。おもちゃ店のチェーンとして拡大し、日本では1991年に1号店を出店した。当時は、大型店の出店などを規制する「大規模小売店舗法」(大店法)が存在したが、米国政府や大手小売からの圧力を背景に規制緩和が進んだ。以降、トイザらスは大型店ならではの品ぞろえと価格で優位に立ち、小規模店を駆逐していく。
しかし少子化やECの台頭、家電量販店の玩具強化により苦戦し、日本法人の売上高は2006年度の1944億円をピークとして減少に転じた。ベビー用品に特化した「ベビーザらス」も少子化や西松屋チェーンなどとの競合を前に不発に終わった。
一方、Olympicは1962年、東京都立川市に1号店を出店した。首都圏の1都3県を中心に、食品から日用品まで幅広く扱う大型スーパー「ハイパーマーケット」を展開していく。
だが、ダイエーやイトーヨーカ堂などの大手スーパーが成長する中、後れを取った。郊外型の大型店を展開するイオンに加え、ユニクロやニトリといった専門店も台頭。Olympicは、品ぞろえや価格面で優位に立てず、衰退していく。
ピーク時の2000年度には売上高1585億円となったが、2024年度は900億円台まで縮小した。収益面はコスト高や減損損失の計上により、3期連続で最終赤字となった。
PPIHはトイザらスとOlympicをどう再生させるのか。2019年に実施した、総合スーパーを展開するユニーの子会社化完了が参考になる。
PPIHは当時、ドン・キホーテを中心に約400店舗を展開していた。総合スーパー「アピタ」「ピアゴ」などを展開するユニーを子会社化し、東海地方を中心とする約270店舗を取得。その後、同社はアピタ、ピアゴの一部を「MEGAドン・キホーテUNY」や「ドン・キホーテUNY」に業態転換した。業態転換しない店舗でも、テナントとしてドン・キホーテを出店した。
決算資料によると、業態転換前のアピタ、ピアゴでは、売上高の約6割を食品が占め、衣料品と雑貨などの住関連商品がそれぞれ2割弱だった。業態転換後は食品の構成比を維持しつつ、衣料品を1割未満に縮小し、住関連商品を約3割に拡大した。こうした見直しも奏功し、既存店売上高は業態転換前を上回った。
ドン・キホーテの強みは、迷路のような構造と棚いっぱいに陳列する「圧縮陳列」だ。独特の陳列方法が宝探しのようなレジャー性をもたらし、娯楽の場としても機能している。一方、生鮮・加工食品も販売し、必需品を購入する場としても機能している。PPIHは今後、トイザらスやOlympicでも同様に、こうした売り場への転換を進めるとみられる。
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