こうした問題を解決するため、野田氏は経理ツールの導入を検討した。複数のサービスを比較する中で重視したのは、データ化の正確性、取引先の負担、導入コストの3点だ。
特に、取引先に請求書の送付方法などの変更を求める場合、対応できると答えた取引先は約半数にとどまったという。現場の運用を大きく変えずに導入できるかどうかも、選定の判断材料となった。
湘南鎌倉総合病院では、Sansanが提供するインボイス管理サービス「Bill One」を導入。請求書1件当たりの処理時間は約10分短縮された。月約600件を処理する同院では、年間約1200時間の業務削減につながった。
また、請求書が届いた段階から処理を進められるようになり、月次報告前の3日間に業務が集中する状況も解消された。Excel台帳への入力も不要になり、他の職員と業務を分担しやすくなったという。
こうした業務改善の取り組みは、グループ内の他施設にも広がった。背景には、徳洲会全体で深刻化する人手不足があった。徳洲会では経理職員の約4割が50歳以上で、今後は定年退職者の増加も見込まれる。一方、M&Aによって施設数が増え続けていた。
全施設での導入を進めた際は、現場から「絶対に導入しなければならないのか」「今のままでいいのではないか」「自分たちだけで運用できるのか」といった声が上がった。
野田氏は、反対の背景にはシステムそのものへの拒否感だけでなく「自分の仕事がなくなるのではないか」「導入によって負担が増えるのではないか」といった不安があると考えたという。
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