全施設への導入を進める中で、野田氏らは現場の理解を得るため、3つの工夫を重ねた。
1つ目は、密なコミュニケーションだ。「困ったら連絡してください」と待つだけでは、現場から相談が来るとは限らない。そこで、定期的に各施設へ電話をかけ、進捗や困り事を確認するようにした。必要に応じてWeb会議や訪問で支援し、問題を早期に把握することを意識した。
2つ目は役割分担の設計だ。導入を推進するプロジェクトチームが一方的に運用を押し付けるのではなく、各施設の担当者と対等な立場で協力することを重視した。会計ソフトとの連携やデータの取り込み設定など、専門的な作業はプロジェクトチームが担当する。一方、各施設には、現場独自の運用フローの整備や取引先への案内など、その施設でなければ対応できない業務を担ってもらうようにした。
3つ目は、経理職員の役割の再定義だ。取り組みはまだ途上だが、野田氏は、システム化によって生まれた時間を単なる人員削減につなげるのではなく、職員が新たな業務に挑戦する機会にしたいと考えているという。
「導入で生まれたリソースを何に配分するのか。新たな経理の役割は何か。これらを職員と一緒に考え、より付加価値の高い仕事に挑戦できる環境を整えていく取り組みで現場の抵抗感を取り除いていきました」(野田氏)
現在、91施設がBill Oneを導入しており、2027年には165施設での導入完了を予定している。業務の進め方を変えるには、システムを導入するだけでなく、現場がその必要性を理解し、変化の先にあるメリットを実感できることが欠かせない。野田氏は、職員と対話を重ねながら、経理改革を進めている。
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