施策が効果を生んでも、現場の負担が増えれば継続は難しい。その両立を実現したのが、あるアパレルブランドの事例だ。
そのアパレルブランドでは、以前、店舗への商品補充を週1回実施していた。補充担当者は、就業時間内に全商品の補充を終えられなかったという。店舗側も、週1回の大量入荷に備えて、人員を厚く配置する必要があった。
そこで、そのブランドはAIを活用し、店舗ごとの在庫状況や売れ行きに応じて、商品の補充計画を立てる仕組みを導入した。
直近の販売実績を基に、AIが数日から2週間先までの売れ行きを予測する。AIはその結果を踏まえ、全店舗・全商品の補充量や、店舗間の在庫移動案、余剰在庫の一覧などを提示。担当者はAIが提示した内容を確認し、必要に応じて補充指示を出すだけで良い状態を作った。補充計画の作成にかかる時間は、従来の8時間以上から3時間未満に短縮された。その後、商品の補充頻度を週1回から毎日に増やしたが、作業負担はほとんど増えなかったという。
商品が毎日少しずつ届くようになり、1回当たりの品出し作業が減ったことで、通常のシフト内でも作業を終えられるようになった。その結果、店員は接客に時間を割けるようになった。7週間の試行では、必要な商品が店舗にそろっている割合が、約5割から約9割に上昇したという。売り逃しの削減と現場の負担軽減を両立した事例といえる。
その会社の担当役員によれば、補充担当者の作業時間は月20時間以上短縮され、生まれた時間は店舗を回ったり、地域ごとの品ぞろえを商品企画の担当者と考えたりすることに使われている。ただし、AIで全てを解決できるわけではない。ネット通販の予約分が一度に出荷された日のように、AIが読み違えやすい場面では、人が手で修正する必要があるという。
この考え方を総菜売り場に応用する場合、課題となるのは、調理を担うパート社員などが退勤する夕方にも、商品の需要があることだ。注文が入ってから調理する仕組みをそのまま導入すると、夕方に調理作業が集中し、かえって現場の負担が増える可能性がある。
解決策の一つは、下ごしらえと最終的な調理・盛り付けの工程を分けることだ。材料の準備や下ごしらえは、比較的人員を確保しやすい時間帯に済ませる。夕方は、揚げる、焼く、盛り付けるといった最終工程に集中できるようにする。さらに、AIを活用し、販売実績や時間帯別の需要などを基に、仕上げる商品と数量の判断をする。
また、調理量の調整に加え、値引きの判断をAIで支援する方法もある。イオンリテールは、AIが適切な値引き率を提示する仕組みを導入し、ロス率を導入前と比べて1割以上低減したと公表している。
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