イオンリテールは、AIが値引き率を決めるシステム「AIカカク」の導入を進めている。これまで従業員の経験や勘に頼っていた値引き業務をAIに任せることで、業務効率化や商品の廃棄率低減を狙った取り組みだ。実際に導入した店舗では、従業員の心理的な負担の軽減にもつながっているという。導入の背景や今後の方針について、同社広報部の大瀧和孝氏に聞いた。
AIカカクは、販売実績や天候、客数などの環境条件を学習したAIが“その日その時”の需要を予測し、最適な値引き率を算出する。
同社では、2021年に総菜部門で、2022年には日配品の一部にAIカカクをそれぞれ導入。今年5月7日からは畜産部門と水産部門にも実装した。従業員用端末で商品のバーコードをスキャンし、その時の陳列数を入力すると、端末に割引率が表示される仕組みだ。
大瀧氏によると、AIカカクは「食品ロスを減らしたい」という考えから生まれたのだという。
もともと、値引き業務は従業員の経験と勘に頼る「属人的」な作業だ。そのため日ごと、人ごとに精度の差が大きかったが、同社はそれだけ改善の余地も大きいのではと考えた。また、食品ロスが減れば、仕入れたり製造したりしたものが無駄にならず売り上げになる。廃棄物も減り、環境負荷も軽減できる。「会社的にも環境的にも良い影響があるという要素も、開発の後押しとなりました」(大瀧氏)
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