「ごぼうサラダ」を生み出したケンコーマヨネーズ、海外でもヒット商品の開発を:イスラム教徒も食べる(2/4 ページ)
業務用のドレッシング類やサラダ類を製造するケンコーマヨネーズが海外市場の開拓を加速させている。イスラム教徒向けにハラル認証のマヨネーズを販売したりと、現地ニーズに合わせた商品開発を進めているのだ。
商品は3100種類を超える
インドネシアの話に入る前に、まずは同社のビジネス現況を見てみよう。
「順調に増収・増益を続けており、数年前から海外進出にも積極的に乗り出している」。こう語るのは、ケンコーマヨネーズ 取締役 常務執行役員で経営企画室 室長の村田隆氏だ。
ケンコーマヨネーズの2015年3月期連結決算では、売上高が603億2700万円(前期比5.3%増)、経常利益が27億7600万円(同22.9%増)、当期純利益が16億4200万円(同29.7%増)となった。売上高は3期連続の過去最高を更新し、初めて600億円を超えた。
そんなケンコーマヨネーズの商材の柱は主に3つ。売り上げ全体に占める比率が最も大きいのがサラダ・惣菜類で45.2%、続いてマヨネーズ・ドレッシング類が27.8%、タマゴ加工品が25.2%となっている。
特に成長著しいのがタマゴ加工品である。その背景にあるのは、従来から消費者ニーズの高いサンドウィッチ商品に加えて、夏場に冷やし中華が売れたり、関東地方でも節分に恵方巻きを食べる習慣が根付いたりと、タマゴを使う商品の販売がコンビニを中心にここ数年で急増したことである。
そうした顧客需要の高まりに合わせて、ケンコーマヨネーズは2014年3月にタマゴ加工品の製造に特化した静岡富士山工場を竣工し、増産体制を構築した。量を増やすだけでなく、最新鋭のシステムを導入することで味や品質の向上にも努めた。その結果、顧客からの評価を高め、コンビニだけでなく、例えば、大手回転すしチェーンのたまご焼きに採用されるなど、外食産業での売り上げを大きく伸ばしている。
村田氏によると、同社は創業以来、さまざまな顧客に合わせたきめ細やかな商品を開発してきた。それが長年にわたって蓄積され、今では商品数は3100種類以上、年間の開発アイテム数は1800を超える。
「業態によって求められるものは異なる。居酒屋、ファミレス、ピザチェーン、ラーメンチェーンなど、それぞれに対してメニューを考え、販売している。消費者の要望はどんどん細かくなっている。例えば、以前は家庭で使うドレッシングは1種類が当たり前だったのに、今では料理に合わせて複数のドレッシングを使い分ける人が多い。こうしたニーズの多様化に対応していかなくてはならない」(村田氏)
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